マスク氏、人工衛星インターネットに一歩前進 〜 ビーム実験をFCCに申請
- 2015年6月11日
- ハイテク情報
スペイス・エックス(Space X)というロケット会社を運営するテスラ・モーターズ(Tesla)創業者のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は10日、連邦通信委員会(FCC=Federal Communications Commission)に対し、人工衛星を使って大気圏外から高速インターネット接続向けビームを発する実験実施の許可を申請した。
同氏は、4000基の地球同期人工衛星(地球の自転と同じ周期で公転する人工衛星)によってインターネット信号で地球を覆う計画を進めている。地球上のどこででも高速インターネット接続を安価に可能にするというのがその狙いだ。
それらの人工衛星は、オレゴン州レドモンドにあるスペイス・エックスの研究所で設計される計画だ。
同氏は同計画について、「宇宙を使ってインターネット接続網を再構築する」と話している。
ビジネス・インサイダー誌によると、同計画はすぐに実現するものではなく、また費用もかなりかかる事業になることは避けられない。
FCCへの許認可申請書類によると、2016年に実験開始が認められるとしても、試験運用には5年を要する見通しだ。また、実用化までには100億ドルという巨額の費用がかかる見込みだ。
マスク氏は同計画の採算性について、長期的には良い収入源となり、ゆくゆくはそれをもとに火星に町を構築するのに流用できると話している。
同計画に現実味が帯びれば、AT&Tやタイム・ワーナー、ベライゾン、コムキャストといった既存の高速インターネット接続サービス業者にとっては脅威となる。
既存大手を脅かす存在としてはグーグルのプロジェクト・ルーン(Project Loon)も挙げられる。グーグルでは、携帯電話通信網の周波帯域と大気中に浮遊させた風船群を組み合わせて活用することで、地球上のあらゆる場所に高速インターネット接続網を張り巡らせる実験を続けている。
そのほか、フェイスブック(Facebook)でも、人工衛星経由のインターネット接続網を構築する案を掲げたことがある。ただ、フェイスブックは高コストを理由に同案を白紙に戻すと報じられた。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年7月16日 アメリカ発ニュース
米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ