3Dプリンター業界、予想外の低迷 〜 HPの高性能機種が出るまで買い控えか
- 2015年8月10日
- ハイテク情報
急成長を続けてきた立体印刷(3Dプリンティング)業界が最近、低迷している。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、業界大手3Dシステムズでは、2015年第2四半期の業績が予想を下回り、前年同期の純利益210万ドルから1370万ドルの損失に転落した。同社の総売り上げは増加したが、買収や為替の影響を除く実質売り上げは前年比で5%減少した。
競合社のストラテシスも、売り上げは13%減、損失は17万3000ドルから2290万ドルに拡大した。
両社は、2014年の業界売り上げ全体の3分の1以上を占めた業界2強。立体印刷機業界全体の売り上げは過去3年間に年率平均約34%で増加していた。
両社とも、近年の急激な販売増や買収にともない、3Dプリンターの品質や信頼性の問題に直面していることを認めている。
大型小売店では5000ドル以下の3Dプリンターが広く販売されているが、期待された個人向け販売は伸びておらず、ストラテシスでは年間販売に占める家庭向け利用の比率は10%未満とみられる。
業界コンサルタントは、低迷の原因として既存機種の使いづらさを指摘しており、購入後に使用されずホコリをかぶっている場合が多いと指摘する。
企業でも、予算が厳しいなか、現行機種は機能が限定されて遅いうえ、2Dプリンター大手のヒューレット・パッカード(HP)が、高速でより信頼性の高い3Dプリンターを1〜2年以内に出すとみて、購入を控えている状態だ。
HPは、複数のプラスチック素材を同時に扱うことができ、既存の3Dプリンターの10倍速いというマルチ・ジェット・フュージョン技術を使った産業用3Dプリンターを2016年に発売すると発表している。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年7月16日 アメリカ発ニュース
米技術業界重鎮ら、トランプ氏の激励をあいついで表明 〜 暗殺未遂速報を受けて続々と投稿
-
ターゲットとショッピファイが提携 〜 ターゲットのオンラインいちばに中小の小売業者らが出店可能に
-
人工知能銘柄が今後10年の株式市場を動かす 〜 シスコの元CEOのベンチャー・キャピタリストが予想
-
2024年7月8日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
スマート包帯の研究&開発が前進 〜 傷口の状態を遠隔追跡、包帯から投薬や電気刺激を可能に
-
飲食店で印刷メニューが復活~QRコード不評で
-
2024年7月1日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ウェザーXM、ウェブ3とIoTで気象データに革新 〜 動く気象観測所群の分散型連携網を構築
-
米消費者のガソリン車好き続く~KPMGの意識調査
-
2024年6月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
対中EV貿易戦争、様々な副作用も
-
傷が早く治る、次世代ばんそうこう~医師との通信も可能に
-
生体認証決済が米国で拡大しつつある 〜 マスターカードやJPモルガンも導入へ