デロイト(Deloitte)と非営利団体の米国競争力協議会(Council on Competitiveness)は、米製造業界の幹部や国立研究所および研究機関所長約40人に聞き取り調査を行い、先端製造技術10種類のうち、大規模データ(big data)の解析と予想分析が最重要技術と位置づけられているという調査結果をまとめた。
マニュファクチャリング・ビジネス・テクノロジー誌が掲載したその調査結果によると、データ収集技術や電算能力、スマート・アルゴリズム、機械学習の「飛躍的」成長を背景に、人工知能(AI)および機械学習市場は2013年の10億ドル未満から2015年は360億ドルに達する見通しだ。
また、モノのインターネット(IoT=Internet of Things)に接続される機械や端末の市場は、2015年の約50億ドルから向こう10年間で250億ドルに拡大し、世界IoT市場は2013年の1兆9000億ドルから2019年には5兆6000億ドルに劇的に拡大すると予想される。
一方、先端ロボティクス工学市場は、2013年の280億ドルから2019年には380億ドルに成長すると見込まれる。
デロイトのクレイグ・ジフィ副会長によると、製造会社幹部らは先端技術による世界的競争力維持について少し前までは楽観的だったが、最近では、十分な資源と人材獲得に懸念を抱いていたことも明確になった。
さらに、将来の競争力にとって先端素材が重視されていることもわかった。たとえば、強度と安定性の高い軽量の先端セラミクスと複合素材の市場は、2013〜2019年に倍増以上の560億ドルに拡大すると予想される。
製造コストがより低い軽量金属と合金市場は同期間中に1130億ドルから1380億ドル強に、クリーン・エネルギー開発に必要な磁気や触媒含有の重要素材市場は約70億ドルから100億ドル強に、バイオ基盤ポリマー市場は12億ドルから33億ドルに成長する、とデロイトは予想する。
同社によると、米産業界の幹部らは、次世代素材の開発にあたり米国立研究所との協力が不可欠だ、とも考えている。
そのほか、先端産業界(advanced industries)は4000万人を雇用し、生産高は米国GDPの17%相当の2兆7000億ドルに達することも同調査で判明。
同社はその一方で、製造関連研究開発への継続的投資の必要性に言及し、GDPに対する米研究開発投資率が停滞している、と危機感を示した。
さらに、米製造会社幹部らは外国との競争力維持に必要な要素として、予想可能の市場変化に政府がもっと敏感に対応すべきで、研究開発に対する税額控除の増額や法人税の減額を挙げた。
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