日本で毎年恒例の「鉄旅オブザイヤー」、2019年度は “激レア体験”に高評価

「熊本デスティネーションキャンペーン(DC)」を記念して日本旅行が走らせた、JR西日本の欧風客車「サロンカーなにわ」をけん引した列車=2019年8月25日午後、福岡市(大塚圭一郎撮影)

日本の優れた鉄道旅行を表彰する2019年度の「鉄旅(てつたび)オブザイヤー」が2月5日に発表され、新潟県の第三セクター鉄道、北越急行で定期列車の運転終了後にトンネルを歩くツアーが最高賞のグランプリに輝いた。準グランプリは、日本唯一の行商人専用列車となっている近畿日本鉄道の「鮮魚列車」を貸し切った旅行商品。ともにユニークな売りに着目し、通常ならばできない“激レア体験”を提供したことが高く評価された。

鉄旅オブザイヤーは、日本の旅行業界でつくる鉄旅オブザイヤー実行委員会が主催し、JR旅客6社や日本民営鉄道協会などが後援。東日本大震災で落ち込んだ観光を盛り上げようと11年度に始まってから毎年開催し、今回で9回目となる。

グランプリのツアーは、JR上越線と接続する六日町駅(新潟県南魚沼市)を午後11時40分に出発する北越急行に乗り、午前4時40分に戻るオールナイトの行程。同県十日町市にある途中の美佐島駅から隣のしんざ駅まで長さ2.2キロの赤倉トンネルの線路上を歩いた後、ほくほく大島駅(同県上越市)まで時速5~10キロの“超低速”で走る電車内からの探索を楽しんだ。特製ヘルメットと、地元の南魚沼産コシヒカリのおにぎりの夜食付きで、参加料金は1人9000円。

北越急行はかつて東京と富山や金沢の間を移動するのに上越新幹線と乗り継ぐアクセス線として利用され、大半が赤字経営の三セク鉄道の中で黒字を続けてきた。しかし、2015年3月の北陸新幹線延伸で利用者が流出したことにより赤字会社に転落。赤字削減に向けて今回のような意欲的なツアーを企画し、大塚次長は「新たな『ナイトタイムエコノミー』の旅行商品を生み出したのが画期的です」とコメントした。

準グランプリの商品が目玉にした鮮魚列車は、三重県の海産物を大阪方面へ運ぶ行商人を乗せて宇治山田(三重県伊勢市)から大阪上本町(大阪市)まで平日の早朝に駆けている。普段乗車できるのは伊勢志摩魚行商組合連合会の会員だけで、貸し切り運転のツアーを催行することで一般消費者に門戸を開いた試みが受け入れられた。

JRグループと自治体が手掛ける大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」の開催地への旅行を対象にしたDC賞には、熊本DCを開催中の昨年8月23~26日にJR西日本の欧風客車「サロンカーなにわ」を貸し切って熊本市を訪れた日本旅行の商品を選出。往路は大阪駅から熊本駅、帰路は博多駅(福岡市)から大阪駅までそれぞれ夜行運転した。
一方、審査員特別賞に選ばれたのは、福島県・会津地方を貸し切りバスで訪れて11年7月の福島・新潟豪雨で一部区間が不通となっているJR東日本只見線を訪れるなどした読売旅行の商品。初めての受賞となる旅行会社を対象としたルーキー賞には、東日本大震災で被災した岩手県の三陸鉄道全線に乗り、貨物専用鉄道の岩手開発鉄道を訪れてディーゼル機関車や貨車を見学する朝日旅行のツアーが輝いた。

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