100年以上前に帆船の使用をやめた海運業界が、再び風力の活用を目指している。
ウォールストリート・ジャーナルによると、デンマークの不定期船会社マースク・タンカーズ(Maersk Tankers)は、高さ100mほどの縦型円筒(ローター)が回転することで船が進む技術の実験を、同社のタンカー1隻を使って始める。うまくいけば40隻以上ある他のタンカーにも導入する可能性がある。
海運業界の風力活用に向けた取り組みは、これまでは技術的にコストがかかりすぎたり、思うようなテスト結果がでなかったりで広がらなかったが、マースクのローターは軽量で比較的安いため、期待が高まっている。
ローターにはフィンランドのノースパワー(Norsepower)が開発した軽量複合材が使われ、船体への設置コストは100万〜200万ユーロ。回転する物に風が当たると、風が分かれた両側の気圧が違うことで気圧の低い方に物が動くという「マグナス効果」によって船が進む原理で、ローター自体はすでにオランダの船会社ボーレ(Bore)が運航するフェリーで使われており、フィンランドのバイキング・ラインのクルーズ船にも設置される予定だ。
2014年にローターを採用したボーレによると「良い風が吹けば燃料を6%節約でき、重要なコスト削減策となる。
マースク・タンカーでも10%のコスト削減が見込める可能性があり、排ガス基準対応の助けにもなる。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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