郊外の倉庫は通勤が大変 〜 eコマース隆盛で新しい課題

eコマースの拡大で、小売り業者の活動範囲も商店街から都市郊外の倉庫へと広がっている。この結果倉庫で働く人が増え、遠い場所への通勤を可能にするため自治体は公共交通の路線を拡大した。しかし最近は倉庫の稼働時間が長くなり、平日の日中の運行だけでは対応し切れなくなっている。

■自治体と企業が協力

ウォールストリート・ジャーナルによると、サウスカロライナでは現在、州都コロンビア郊外の工業地帯でアマゾンなどが倉庫での新規雇用を計画しているものの、地域住民の通勤の足がないという問題が持ち上がっている。大型施設を置いてeコマースの注文品を発送するには適しているが、公共交通機関がなく労働者にとっては不便な場所にあるためだ。

そこで州、郡、地域の交通当局が協力し、すでに拠点を構える企業4社と話し合いながら新しいバス路線を作って1日に数回走らせる計画を検討している。しかし、州や自治体の予算に余裕がなく、年間6万2000ドル以上かかる運営資金の一部を支援してほしいという当局の要請に一部企業が反発したため、コロンビアの新バス路線計画は2019年1月まで保留となった。

セントラルミッドランズ地域交通公社のティファニー・ジェイムズ広報は「目標はサービス運営にかかる費用を企業に負担してもらうこと」と話している。企業の1つネフロン・ファーマシューティカルズ(Nephron Pharmaceuticals)は1月から新バス路線の費用の一部負担に合意しており、ジェイムズ氏によると、路線はネフロンの労働者のために調整するが、約1マイル離れた場所にあるアマゾン施設の労働者を含め誰でも利用できるという。

■アマゾンは専門チーム編成

企業は安い土地や税優遇を求めて都市部から離れた場所で雇用を増やすことが多く、同様の問題は全米で起きている。一般的に公共交通サービスは混雑した環境に最も適しているが、倉庫は遠くの広い場所にあることが多いため、サービス提供には難題が伴う。

公共交通機関は支出を増やしているが、乗車率はそれに見合う水準まで上がっていない。米国公共交通協会(APTA)によると、支出は05〜15年に50%以上増え650億ドルに達したが、乗客マイル(移動距離)は18%の増加にとどまっている。

一部の連邦プログラムは地域政府に関連資金を提供しており、多くの企業は新施設への交通サービスを改善するため地域当局と協力している。

アマゾンの場合、交通機関と連携して新サービス導入や既存サービス改善の可能性を探る社内チーム「アマゾン・ライド」を立ち上げ、労働者の数や勤務シフトを基に計画策定を支援している。同社はイリノイ州ジョリエット、ミネソタ州シャコピー、ニュージャージー州ロビンスビル、ペンシルベニア州ブレイニグスビルなどで交通サービスの資金を全額または一部負担している。

■ニーズはますます拡大

eコマースに対応する地域交通の調整ニーズは拡大している。オックスフォード・エコノミクスによると、米国の国内総生産(GDP)に占めるeコマースの構成比は、10〜17年に倍増の2%となり、28年までには4%に達すると見込まれる。一方、eコマースや倉庫事業の雇用は01〜17年に2倍近く増え、17年末時点で140万人を超えた。同期間中の小売り業界雇用の伸びはわずか4.4%にとどまっている。

米国の失業率は3.7%と低く、労働力は売り手市場。企業にとっては拡大するeコマースに合わせた労働力確保が喫緊の課題となっている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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