デンソーは、今後10年で事業を大きく改変し新しい商品やサービスに取り組む計画だが、同時に古い製品を新しい方法で活用する可能性も模索している。
■付加価値
オートモーティブ・ニュースによると、同社はスパークプラグ、オイルフィルター、スターター、酸素センサー、燃料ポンプ、クランクシャフトセンサーなど、電動化や自動化に向かう自動車業界の流れとは違う部品を豊富に持ち、その多くは電気自動車の時代が来れば需要が大きく低下するか徐々に消滅することを認識している。
デンソー・インターナショナル・アメリカ(DIAM)の伊藤健一郎CEOによると、このため同社は客のニーズを見ながら製品開発支出を従来から離れた方向に移す準備をしなければならない。しかし、同時に同社は20世紀の中核製品を21世紀の車にとってもっと重要にする方法も見つけようとしている。
「コモディティとなった製品を、価値を加えることでどう変えられるかが当社の課題だ」と伊藤氏は話す。「例えば、エアコンはただのコモディティとなる可能性があるが、将来的には安全機能や自動運転機能と組み合わせて価値を高められる可能性もある」
■新しい分野は提携で対応
デンソーは2017年、次の10年でハードウェア基盤からソフトウェア基盤のソリューション会社に進化する計画を掲げた。そのために人工知能(AI)、自動運転、サイバーセキュリティ、電動化など新分野の研究に関する提携や連合に乗り出している。
新しい協力相手には、有力ベンチャーキャピタルのプラグ・アンド・プレイ、情報セキュリティ技術開発のNRIセキュアテクノロジーズ、同デルファー(Delfer)、スマートフォンを車のキー代わりに使う技術を持つインフィニットキー(InfiniteKey)、ミシガン大学などが含まれ、カーシェアや配車サービスではライドセル(RidecellI)と提携し、深層学習機能を備えた半導体ディバイスへのアクセスを拡大するためにシンクアイ(ThinCI)にも投資した。
自動運転用統合ソフトウェア開発では、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの日系各社と合弁会社も設立した。接続性分野で新しい商機をつかむため、クラウド・ソリューションやオープン・ソフトウェアのプロバイダーにも投資している。
変革は速やかに進めなければならないという伊藤CEOは「これまでは顧客から仕様書をもらっていたため、依頼に基づいてどう対処し何を提案すればいいかが分かったが、これからはこちらが顧客に仕様を提案し、それを彼らより速く行う必要がある」と話した。パートナーを増やしたことで、同社は追求したい分野に取り組む十分な技術的専門知識を備えたという。北米では近く新しいR&Dサテライトオフィスについて発表する予定で、1つはクラウド・コンピューティング、もう1つはAIに重点を置く。
■既存製品の改善も継続
DIAMのビル・フォイ上級副社長(エンジニアリング担当)によると、将来的に生産の中断が予想されるコモディティ製品でも、自動車メーカーにとって重要な物の多くにはすでに商品開発資金が投じられており、22〜25年には次のアップグレード時期を迎える。
電動化がより進行する25年以降の見通しはより不透明で、自動運転車に人間の助けが不要となれば計器類などが集まるインストゥルメント・クラスターは時代遅れになる可能性があり、その次のアップグレードはなくなるかもしれない。それでも同社は、その分の研究資金を別の分野に転用する好機になると考えている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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