カリフォルニア州オークランドで最近に開催された環境対応技術業界の会議および展示会「ヴァージ(VERGE)」において、カンザス・シティーとニューヨーク市、サンノゼがそれぞれのスマート都市事業を紹介し、検知器やデータ解析、IoT(Internet of Things)の有効性に関する概要を説明した。グリーンビズ誌が報じた。
▽技術会社らとの連携が重要
ミズーリ州カンザス・シティー(KC)政府のボブ・ベネット最高革新責任者(CIO) によると、同市が進めるスマート都市化の試みでは、協力会社らとの連携が重要なカギをにぎる。
たとえば、同市は、延べ500万マイル以上の光ファイバー通信網をグーグルから寄付され、その後に、無料の路面電車を導入して市街地域を拡大し、その全域でワイファイ接続を無償提供した。
光ファイバー網とワイファイ接続網は、今後のスマート都市化ソリューション開発および導入の基盤でもある。エネルギー消費や交通を含む各種のデータを検知器とIoTによって集めてデータ解析する基幹設備としてそれらの通信網は欠かせない。そういった データ解析結果は、都市機能効率化の施策やソリューションの重要な材料となる。
カンザス・シティー政府は現在、スマート都市化に向けた技術やソリューションの開発と実装を技術会社連合に2018年末までに発注する計画を進めている。それらの内容は現在検討中だ。それがいったん決まれば向こう30年間にわたってスマート都市化と維持管理の仕事が生まれる。
▽炭素排出量の8割は建物の暖房と温水器に由来
ニューヨーク市の社会基盤整備事業で副責任者を務めるキー・ウェイ氏は、スマートな意思決定を下すにはデータを集めて活用することが欠かせない点を強調した。
同市では、データをすでに活用した結果、市の温室効果ガス排出源の60%を占めるのが建物の暖房と温水器であることをつきとめた。同市はさらに、どのような種類や型の暖房設備が使われ、エネルギーがどれほど消費されているかを把握してから、建物改修の必要性を見極めた。
スマート都市ソリューション開発の新興企業ザクト(Xaqt、シカゴ拠点)の提供した ソフトウェアを中心としたいくつかのデジタル・ツール群が、さまざまのデータを統合 して視覚化するのに役立った、とウェイ氏は説明した。
ニューヨーク市では、市内炭素排出量を2050年までに2005年比で80%減らす目標を掲げている。建物の暖房と温水器をスマート化する方針は、その目標達成のための優先事項と位置づけられている。
ザクトは、カンザス・シティーの都市スマート化でもデータ解析結果視覚化ソフトウェアを提供している。
▽検知器データと天気予報情報を統合して節水
サンノゼ市の行政改革と緊急事態管理を監督するキップ・ハークネス市政担当副局長は、検知器やIoTを活用したスマート化の実績を披露した。
たとえば、接続化された検知器群を市内の公園群に設置して土壌水分を測定し、天気予報といった各種の情報と統合したうえで、いつどれだけ散水するかを決めることで、緑を枯れさせることなく大幅に節水することに成功した。
検知器データとIoT機能によって行政サービスの効率と精度を向上できることが実証された、とハークネス氏は強調した。
▽クラウド基盤の検知器データでごみ回収を効率化
今回の展示会では、トラック搭載向け廃棄物管理技術を開発するルビコン・グローバル(Rubicon Global)を含むいくつもの環境技術会社も、スマート都市に役立つ技術を出展した。ルビコンのごみ回収トラック向け技術は、検知器群とIoTを統合してごみの量に関する検知データをクラウド電算プラットフォームによって集約および管理できる。その結果、回収要と回収不要のゴミ箱を特定でき、その情報をトラック運転手らが受信することで、回収作業の最適化を図ることができる。
また、同社のごみ回収トラック向け技術は、路面の穴を探知して自治体の担当課に報告することもできる。その結果、当該担当者らは、市内の路面穴を調べる作業を省ける。
【https://www.greenbiz.com/article/how-kansas-city-new-york-and-san-jose-exhibit-three-approaches-smart-cities】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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