カプセル入りコーヒーの人気が高まる中、使用済みのプラスチック容器について環境への影響が懸念されている。
■12年から急速に普及
USAトゥデイによると、コーヒー・ポッド(coffee pods)と呼ばれるカプセル入りコーヒーは、一般的にアルミフォイルのふたが付いたプラスチックまたはアルミの小さな容器にコーヒーのもとが入っている。「K-Cup」「Nespresso」といったブランドがあり、専用の装置(コーヒーメーカー)にセットしてボタンを押すだけで1杯分(シングルカップ)のコーヒーが作れる。1ポンド当たりの値段は通常のコーヒー豆よりかなり高いが、カプセル入りは最初に登場した1990年代以降、コーヒー好きの間で人気が高まった。
全米コーヒー協会(NCA)によると、消費量が大きく伸び始めたのはコーヒー消費者の約10%がコーヒー・ポッドでいれるようになった2012年ごろから。利用者は年々増え続け、18年までに2倍以上になった。NCAと市場調査のスタティスタ (Statista)によると、現在は米国人の41%がシングルカップ・コーヒーメーカーを持っている。
K-Cupを販売する業界大手キューリグ(Keurig)は、オフィス市場での人気の高まりを受けて04年に家庭用を発売し、15年9月期はK-Cupの販売量が105億個に達した。
■不要なプラ製品の代表
ところが環境団体は、これらの商品を「地球を汚す不要な使い捨てプラスチックの代表の1つ」と見ており、「多くが最後に焼却され、大気や水、土の中に毒を広め、一部はそのまま川や海に流れ出て細かい粒となって野生生物に害を与えている」と非難している。
16年には、世界のいくつかの都市がリサイクルのしにくさを理由にK-Cupの使用を禁止した。ドイツのハンブルク市の場合、公営の建物内でコーヒー・ポッドの使用を禁止している。ネスプレッソを売るスイスの食品大手ネスレは、プラス チックでなくリサイクルしやすいアルミを使うことで悪い印象を消そうとしているが、長期間のアルミとの接触は健康に悪いとの指摘もある。
また、リサイクル問題の一部はコーヒー・ポッドの追跡しにくさにある。ポッ ドに使われるプラ容器は小さすぎて廃棄物処理工場の機械で分別できないことが多く、小さな容器のためにごみを1ポンドずるふるいにかける訳にもいかない。
■業界も認識
キューリグは14年、K-Cup容器のプラスチックの組成を20年までに変更する計画を発表した。15年には再利用可能な容器の試験を開始し、廃棄物処理業者とも協力して資源再生業者がカプセルを処理できることを確認しようとしている。新しい容器はポリプロピレン製で、選別、裁断でき、再生プラを使う製造業への販売が可能。すでに「K-Mug」「K-Carafe」「Vue」の容器と一部のK-Cup容器がリサイクルできる。
ネスプレッソは、存続可能な事業のための大規模プログラムを実施しており、20年までに使用済みカプセルを回収し、「環境上の意味があれば」再生アルミのカプセルで販売することを目指している。また、19年3月にはカプセルの分別収集を目指してニューヨーク市で100万ドルを投じる計画を発表した。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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