米メキシコ国境の通関の遅れで、米国向け物資の輸送が滞り、自動車産業が大きな打撃を受ける恐れがある。現在、1週間に国境を通過する米国行きトラックは以前の半分に減っている。
ロイター通信によると、税関国境取締局(CBP)は3月、メキシコ経由で米入国を目指す移民の急増に対処するため、職員約750人を通関部門から入国管理部門に異動させる決定をした。この結果、毎日17億ドル分の商品を検査する税関の作業が大幅に遅れるようになった。
メキシコ自動車工業会(AMIA)のエドゥアルド・ソリス会長は8日、「(テキサス州エルパソと国境を接するメキシコの)シウダーフアレスの状況は非常に深刻で、自動車部品がここで滞って不利益を被るのは米国の工場だ」と話した。北米の自動車産業は高度に統合されており、多くの自動車部品は最終組み立てまでに何度も国境を越える。
メキシコ貨物輸送会議所のマニュエル・ソテロ副会頭は「8日の朝にエルパソ検問所が開く17時間も前からシウダーフアレスではトラックの列ができていた。前週はトレイラー約7500台が国境を通過できず、その二の舞とならないためだ」 と話した。通常なら1週間に1万5000台前後が米国側に入国し、自動車や飛行機の部品から冷蔵庫、洗濯機、テレビ、携帯電話、コンピューターまであらゆる物資を運んでいる。「これは普通ではない。シウダーフアレスでこんな状況を見たことがない」(ソテロ氏)。
メキシコの輸出業者の一部は、トラック輸送を避け、コストがかかる空輸に目を向けている。シウダーフアレスの製造業団体インデックスのペドロ・チャビラ代表は「われわれは商品の量と内容によって3万5000ドルから10万ドルするチャーター機を使っている」と話した。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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