ファーウェイは、米国のトランプ政権による締め出し運動という逆風のなか、5G通信網構築での契約を着実に取り付けている。ロイター通信が報じた。
▽安全性を繰り返し強調し米国に対抗
中国の通信機器およびスマートフォン製造大手ファーウェイ・テクノロジーズ (Huawei Technologies、華為技術)は16日、5G(fifth-generation)無線通信網の構築および運営の商業契約を3月末時点で40件確保したと発表した。
ファーウェイをめぐっては、5G通信網の基幹設備に同社製品を使わないよう米国のトランプ政権が西側諸国に呼びかけてきたが、欧州諸国は同社製品を排除する姿勢を示していない。同社もまた、自社製品の安全性が競合製品にまったく劣らないことを繰り返し強調し、米政府によるファーウェイ包囲網に対抗する姿勢を堅持している。
▽欧州は安全基準の厳格化で対応
米政府は先日、5G機器調達先からファーウェイを名指しで排除することを要請したそれまでの姿勢を軌道修正し、採用のための安全基準を厳格化することで同社製品が必然的に排除されるという姿勢に転換したばかり。
ドイツ政府は、ファーウェイ製品を無条件で排除せずに、安全基準を厳しくすることで入札を実施する方針を固めている。
米国務省のロバート・ストレイヤー国際通信情報政策担当次官補代理は、5G通信網構築に際する関連機器の安全性に厳しい基準を設ければ、同社製品がおのずと排除されることになる、と話している。
▽ファーウェイ、欧州各国でセキュリティー検査を可能に
それに対し、欧州諸国に取り入るために新たな欧州事務所のサイバーセキュリティー・センターをブリュッセルに開けたばかりのファーウェイは、「世界の通信機器メーカーのなかでわれわれがもっとも試されている」と声明を発表し、米国の圧力に屈しない姿勢と、自社製品の安全性をあらためて強調した。
ファーウェイは、ブリュッセルのサイバーセキュリティー・センターと欧州各国の研究&開発施設において、さまざまのセキュリティー試験を実施できるほか、第三者による検証も可能と説明し、自社製品の安全性が各国によってさらに証明されるだろう、と話した。
▽ベルギー、セキュリティー問題が見つからなかったと報告
実際、ベルギー政府のサイバーセキュリティー機関は15日、ファーウェイ製の通信機器にスパイ目的のセキュリティー問題が見つからなかった、という調査結果を公表した。
同機関は、今回の調査結果について「最終ではない」と述べ、「これから継続的に検証していく」と発表したが、欧州各国で5G通信網構築に向けた入札が本格化するなか、ベルギーの暫定的調査結果はファーウェイにとって非常に大きな朗報といえる。米政府は、ファーウェイ製の通信機器に搭載されているソフトウェアに「裏口(侵入経路)」があると主張し、国家機密や個人情報が中国共産党に流出することを警告してきた。
【https://www.reuters.com/article/us-huawei-tech-5g/huawei-secured-40-5g-commercial-contracts-by-end-march-idUSKCN1RS04F】
【https://www.reuters.com/article/us-huawei-tech-security-belgium/belgian-cybersecurity-agency-finds-no-threat-from-huawei-idUSKCN1RR1GP】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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