スポーツ飲料やシャンプーも個別化の時代

新しいテクノロジーの開発やデータ収集により、利用者のニーズに合わせて飲み物や化粧品などの日用品を個人向けに調合できる時代になってきた。

■運動選手の汗を分析

ウォールストリート・ジャーナルによると、ペプシコ傘下ゲータレードは今年、同社が「カスタマイズ可能な水分補給システム」と呼ぶ新しい飲料「Gx」の発売を計画している。最近はさまざまなスポーツ飲料が売られているが、運動選手の多くはフィットネス・トラッカーで運動の履歴を収集分析しており、それらの情報を使って水分補給も個別のニーズに対応すべきだと考えたからだ。

ゲータレードのスコット・オブライエン・ゼネラルマネジャーによると、個別プランの作成には▽何を達成しようとしているのか▽速くなりたいのか強くなりたいのか▽消費したいのは脂肪か炭水化物か汗か…といった要素を参考にする。同社は数年前から、スポンサー契約する一部のエリート・アスリートには発汗状況やタイプ分析に基づくカスタム飲料を提供してきたが、今ではノースウェスタン大学と共同開発した使い捨ての「スウェットパッチ」によってアマチュア・アスリートの汗も分析できるようになった。

利用者はこのパッチを額に貼って運動し、30分後に汗やその塩分量を測定する。パッチの写真をGxアプリに送ると画像認識ソフトが読み取り、天候データ、運動の時間や激しさ、達成目標の詳細といった質問への回答と総合してGxの適切な成分配合を判断する。アプリ利用者はこれに基づく濃縮液をオンラインで購入し、専用のGxボトルに入れて水を加えて飲む。

■肌や髪質に合わせて

一方、化粧品大手ロレアル傘下のスキンシューティカルズ(SkinCeuticals) は2018年、スキンケアの個別化サービス「Custom D.O.S.E.」(195ドル)を発表した。このサービスではまずユーザーが同社と提携する医師にかかって肌のコンサルテーションを受け、医師は診断結果をスキンシューティカルズ独自のアルゴリズムを搭載したタブレット端末に入力して美容液の配合を作成。実際の調合、びん詰め、医師と患者の名前などが入ったラベル印刷をわずか数分のうちに完了させる。

また、消費者用品大手プロクター&ギャンブルは(P&G)19年1月、肌の色素沈着度を診断し、しみの上にカモフラージュ液を塗る手持ち型装置「オプテ・プレシジョン・スキンケア(Opte Precision Skincare)」を発表した。顔に当てると毎秒200フレーム毎秒(fps=動画処理速度)で肌をスキャンし、しみの部分だけにサーマルインクジェットプリンタが細かく液を付着させて周りの肌の色と合わせる仕組みで、所用時間は約3分。発売は20年の予定で、価格は599ドルになる見込み。P&Gはこの装置を10年前に開発したが、個人向けの応用は携帯電話の内蔵カメラの性能が向上し、コンピューターが7万行のコードを瞬時に処理できるようになるまで待たなければならなかったという。

このほか、オーダーメイド・ヘアケア用品の新興ブランド、プローズ (Prose)は、消費者が髪や食事、ストレス度、天候、フィットネス習慣、シャンプーの頻度などに関する約30の質問にオンラインで答えると最適なシャンプーやコンディショナー(各25ドル)を送付する。さらに個別化サプリメント販売のケアオブ(Care/of)は、健康ニーズや目標に関するオンライン・プロファイルを作成すると、推奨するビタミンのリストが送られ、そこから欲しい商品を選択できる。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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