商品の箱詰め自動化へ 〜 アマゾン、新技術を試験導入

オンライン小売り最大手アマゾンが、注文商品の箱詰めを自動で行う機械の導入を始めたことが分かった。

■全米で1300人以上削減も

ロイター通信が関係者2人の話として伝えたところによると、アマゾンが近年、一部の倉庫で導入を始めた機械は、ベルトコンベヤー上を流れる商品を検知するとすぐにそれぞれの大きさに合った箱を作り、梱包する。同社は今後、導入する倉庫を数十カ所増やし、1カ所に機械を2台ずつ設置することを検討しており、2000人以上が働く倉庫1カ所当たり24人以上の人員削減が可能だという。アマゾンは国内に標準的な規模の注文履行センターを55カ所持っているため、単純計算で全米で1300人余りを削減できる計算だ。機械1台を導入するには100万ドルと運用コストがかかるが、同社は2年以内に回収できると見ている。

初めて明らかになったこの計画からは、倉庫の作業で最も一般的な商品の選別作業がまだ自動化できない中、同社がいかに人件費を減らし、収益性を向上させようとしているかが分かる。ただ、技術の見極めには長い時間がかかるため、箱詰め自動化機械の本格導入はまだ最終決定ではない。

アマゾンは、商品の価格設定から倉庫内の商品運搬までできるだけ多くの業務を自動化することで知られているが、補助金の取得や公共の信頼獲得に役立った雇用の削減には慎重な姿勢を崩していない。箱詰め機械の導入について、同社の広報は「安全性向上、納期の短縮、ネットワーク全体の効率改善を目的に新しい技術を試している。効率の改善によって顧客のための新しいサービスが生まれ、新しい雇用創出が続くと考えている」と説明した。

■目的は効率向上と節約

新しい倉庫の開設や、売り手優位の就職市場で人を引きつけるための賃金引き上げによって、アマゾンの雇用は国内最大規模となっている。1人の関係者は、雇用の削減目標を達成する上で重要なのは自然減で、アマゾンは人を解雇する代わりに、箱詰め担当の補充を控えるようになると見ている。箱詰めを1分間に複数個、それを10時間以上続ける作業は楽ではないため担当者の離職率は高い。一方で、残りたい従業員は別の技術的な仕事ができるよう訓練を受けられる。

同社が試験導入している自動梱包装置は、イタリアのCMC製「カートンラップ(CartonWrap)」。箱詰めを1時間に600~700個と人間の4~5倍のペースでこなせるが、商品をベルトコンベヤーに乗せる係が1人、段ボールと商品固定用の接着剤を補給する係が1人、商品が詰まった時に対応する技術者が1人必要になる。

アマゾンは有料の特典制度「プライム」サービス全体で出荷を速める意向を示しているが、箱詰めの自動化で重点を置いているのは「速さ」ではなく「効率と節約」だという。関係者によると、アマゾンの倉庫1カ所にCMCマシンが2台と、商品を封筒に入れて発送する機械「スマートパック」が1台あれば、箱詰め作業の列を5列から2列に減らせる可能性がある。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  2. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  3. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  4. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  5. 私たちは習慣や文化の違いから思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、当事務所も多種多様なお...
  6. カナダの大西洋側、ニューファンドランド島の北端に位置するランス·オー·メドー国定史跡は、ヴァイキン...
  7. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  8. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
ページ上部へ戻る