クラウドベースのアフターセールス・サービス・ソリューション会社シンクロンは、月額制の車両貸し出し(サブスクリプション)サービスに対する消費者の関心を調査し、将来に向けた自動車メーカーの対応を考察した最新報告書 「Shifting Gears from Reactive to Proactive」を発表した。
■料金にすべて込み
オートノマス・ビークル・テクノロジーによると、車のサブスクリプション・サービスは、消費者が車を所有する以外に便利な移動手段を持てる比較的新しい方法の1つ。メーカーまたはサービス業者に一定料金を払うと、必要に応じて複数の車種を選んで乗れるようになる。月料金には保険料、維持費、路上での緊急対応費が含まれ、すでにBMW、キャデラック、ボルボ、ジャガー・ランドローバー、レクサス、メルセデスベンツ、アウディ、ジェネシスなどのブランドがサービスを提供している。
シンクロンは調査で、米国と欧州の自動車オーナー500人を対象に今のディーラーサービスに対する感想や意見、将来への期待を尋ねた。その結果、車のサブスクリプション・サービスの認知度はまだ低く、60%以上がサービスの内容をよく知らなかった。ただし、その概要を説明されると57%が強い興味を示した。
現在のディーラーサービスにはほぼ満足しているようで、約60%は整備や修理のために使っており、90%以上が直近のディーラーサービスを肯定的に評価した。サブスクリプションの最大の利点を尋ねると、約60%が月々の固定料金に維持費や修理費が含まれていることを挙げ、40%以上はサブスクリプション制のモデルに割高料金を払う意思があると答えた。
■将来のため今投資を
シンクロン報告書は、自動車メーカーは今サービスに投資して将来に備えなければならないと指摘する。回答者の過半数は、特定ブランドに愛着があるから車の購入を決めている訳ではなく、ディーラーのサービスが悪ければブランドの認識が変わるという人は約40%を占めた。ディーラー体験がこれまでにも増して重要になっているとも考えられる。
シンクロンのギャリー・ブルックス最高マーケティング責任者(CMO)は「自動車メーカーは将来の成功に向けた基盤を築くため、今後数カ月から数年で現在のインフラを最も適した形にする必要がある。多くの消費者がサブスクリプション制のサービスを求めるようになるのは時間の問題で、メーカーは故障する前に車を整備するという積極的なサービス方式を導入するため、今のうちにディーラーの準備を始めなければならない」と話している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2023年1月26日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
小売大手ら、2023年に食品廃棄削減に注力 ~ カギは「逆物流」技術、追跡と分析で廃棄回避を強化
-
2023年1月23日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
自動車分野の技術革新、実用化には時間が必要
-
2023年1月18日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
機械学習の普及をさらにあと押しする潮流 ~ AWSの人工知能責任者、6大要因および傾向を特定
-
2023年1月16日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 環境ビジネス, 米国ビジネス
仕事や暮らしに革新をもたらすデジタル・ツインの活用法 ~ フォーブス誌、専門家15人の見方を紹介
-
2023年1月12日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
ウォルマート、ロブロックスと提携しメタヴァースに参入 ~ Z世代向けに仮想空間体験を提供へ
-
小売店、オンライン注文処理もこなす実店舗が増加
-
2023年1月5日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
電気自動車、大衆市場に食い込めるか
-
米年末商戦の小売売上高、7.6%増を記録 ~ インフレにもかかわらず予想以上に成長
-
連邦議会上下両院、政府の端末でのティックトック利用を禁止 ~ 超党派の歳出法案を可決
-
2022年12月26日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
死の谷に入ろうとしているエンジン部品メーカー