飲料メーカーは、再生プラスチックの使用率を上げるため、商品のプラ容器回 収に力を入れている。
■今の4~5倍必要
ウォールストリート・ジャーナルによると、米国では飲料ボトルや食品の容器 として最も一般的なプラスチックの使用量が年間60億ポンドに上る。しかしこの うち回収されて各社のリサイクル・プログラムで再利用されるのは3分の1にも満 たない。さらに、回収されたプラスチックのほとんどは敷物や衣類、シート製品 用のポリエステル繊維に加工され、再びボトルや食品容器になるのはわずか5分 の1の3億3000万ポンドにとどまっている。
飲料や食品大手は、無駄の削減や再利用の促進を望む世論に押されて野心的な リサイクル目標を掲げているものの、それらを達成するにはリサイクルの規模を 今の4~5倍に増やす必要がある。
現在、飲料会社のほとんどは再生プラスチックの使用率が10%を下回っているが、コカ・コーラは2030年までに50%を、ネスレ・ウォーターズ・ノースアメリカは25年までに国内ブランドの50%を、ペプシコも25年までにすべてのボトルとパッケージの25%を再生プラスチックにすることを目指している。
■最大の課題は回収
しかし、ボトル用プラスチックのPET(ポリエチレンテレフタレート)のリサイクル量は長年低迷しており、ペプシのスナック部門社長サイモン・ロウデン氏はこの問題を「間違いなく米市場での最大の課題の1つ」と話している。コカ・ コーラやペプシなどのボトル飲料会社は、リサイクリング・パートナーシップなどの団体を通じたカーブサイド・リサイクル(道路の端での分別収集)プログラムに毎年多額を投じているが、最も効果的なリサイクル方法の1つであるデポジット制度には反対してきた。
5~10セントの預かり金(デポジット)を上乗せして商品を販売し、容器の返却と引き換えにその額を支払うデポジット制度は、缶やボトルの回収には有効だが、払い戻されなかった多額のデポジットは毎年政府に取られるため、メーカーにとっては基本的に飲料への課税だ。また、空ボトルを保管・収集する配給業者や小売店にはコストがかかるため、業界団体・米国飲料協会(ABA)のウィリアム・ダーモディー副会長は「カーブサイドがリサイクルの将来だと考えている」 と話す。
■デポジット制の方が有効?
しかし、ビール、水、ソーダの容器にデポジットを課している10州はカーブサイド・プログラムを展開する州より容器回収率が高い。容器再利用研究所(CRI)によると、10州は国内で再利用されるPETボトルの3分の1を回収しており、容器への再生率もカーブサイド・プログラムの展開州より高いとみられている。
カリフォルニア州の場合、デポジット制度で再生するのに十分な量のPETを回収しており、州内で販売される飲料ボトルの70%が再利用されている。一方、カーブサイド回収サービスの料金は、古紙、段ボール、プラスチックの対中輸出量の減少による使用済み材料の価格低下を補うため上昇している。
料金値上げは、回収プログラムの安定に寄与した半面、自治体のリサイクル意欲を低下させている。米世帯の約3分の1にはまだ回収サービスが行き届いていない可能性があり、食品や飲料会社への再生プラスチックの供給にも影響を与えることになる。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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