オンライン小売り最大手アマゾンは、サイトで商品を販売する業者(ベンダー)にパッケージングの効率化を求めている。出品業者はコストのかかる変更を受け入れるか、罰金を払うかの選択を迫られている。
■戦略に従え
ウォールストリート・ジャーナルによると、アマゾンは2018年秋、ベンダーに対し、19年8月1日までに大型の商品のパッケージングをより小さく、開けやすくするよう指示した。最終的には取り扱う全商品が同様の基準を満たすことを望んでおり、ベンダーにあてた書簡では「この基準によってより環境に優しいパッケージになる」と説明している。
アマゾンには、取引相手にビジネスのやり方を変えさせる力があり、ベンダーに対してはほかにもアマゾンの商品管理や配送システムに適した数および価格で商品を販売するよう要求。できないブランドはアマゾンのサイトから削除される。
さらにアマゾンは、自社レーベル商品を一から開発する代わりに、消費者用品メーカーにアマゾンが独占販売するためのブランドを開発させている。多くのメーカーにはアマゾンの要望に応えるほかに選択肢がなく、より多くの消費者に商品を売るにはアマゾンで販売するしかないのが実情だ。
新しい基準を満たすため、Philips Norelcoはかみそりと電気シェーバーのハイブリッド商品「OneBlade」の替え刃1パックの商品数を13個から9個に減らし、パッケージの容量を80%減らした。Hill’s Pet Nutritionは高級ドッグフード 「Science Diet」のパッケージ容量を34%、無駄な隙間も82%減らしており、プラスチック容器Rubbermaid FreshWorksの製造元Newell Brandsは容器の出荷に使う部材を7個から2個に減らした。
パッケージングの試験を行うコンサルティング会社ベリティブ(Veritiv)の マット・レディントン氏は「アマゾンと交渉するというブランドもあるが、実行しているようには見えない」と話す。一部の業者はアマゾンでの商品販売から撤退するかもしれないが、それでもアマゾンはあらゆる部分で自社の戦略に最も適した形をブランドに求め続けるというのが、同氏の見方だ。
■間に合わなければ罰金
環境に配慮し、過剰な資材を使わず簡単に開封できるフラストレーション・フリー・パッケージング(FFP=Frustration-Free Packaging)の導入など、アマゾンは10年以上前からパッケージングの効率化を目指している。17年には「配達の時間とコストを削減するため過剰なスペースや材料を減らすよう、より多くのメーカーに呼びかけている」と説明した。
出品業者は、自社のパッケージングがアマゾンの基準を満たすかどうかコンサルティング会社に証明してもらう必要があるが、あるコンサルティング会社によると、試験したパッケージの約15%はデザインをやり直す必要があったという。
アマゾンは新基準に合うパッケージで期限内に販売された場合、メーカーに商品1点当たり1ドルのクレジットを提供しているが、基準を満たせなかった場合は1.99ドルのサーチャージ(特別付加金)を課している。
より効率的なパッケージを導入したブランドは配送コストが下がり、アマゾンにとっても利点があるため、試験サービスSmithers Piraのパッケージ専門家マイク・キューブラー氏は「少し大変だが利点はあると思う」と述べている。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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