自動緊急ブレーキ・システム(anti-lock braking system=ABS)の導入が拡大するにつれ、誤作動に関する苦情が増えている。
ABSは、カメラや検知器、レーダーを使って障害物を認識し、運転者の対応が遅い場合に自動ブレーキを作動させる。それによって事故を回避でき、人命を救えると期待されている。自動車メーカーらでも、そういった衝突回避システムが自動運転車 (autonomous vehicle=AV)の開発にとって重要だと考えている。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、運輸省道路交通安全局(NHTSA)には、日産やフォルクスワーゲン(VW)、ホンダを含む主要メーカーからABSの問題に関する報告が過去3年間に400件以上も寄せられた。
問題の多くは、危険の兆候がない場合でも突然に作動したという報告で占められる。逆に、危機が迫ったのに作動しなかった例もある。事故と関係する苦情は14件で、ほとんどは、ブレーキが突然かかったために後続車に追突されたという事故だった。高速走行時に急ブレーキがかかり、制御不能になって水平に回転しながらガードレールに衝突した例もある。死亡事故の報告はないが、3件の衝突で負傷者が出た。
日産の2018年型SUV「ローグ」を時速65マイルで運転中にABSの突然の作動を経験したシンシア・ウォルシュさんは、ディーラーに車を2回持ち込んだが問題は解決せず、いまでは運転するのが怖いと話す。
NHTSAは、交通安全推進団体の嘆願を受けてローグの調査を2019年春に始めた。日産も、踏み切りや橋、低いつり信号といった特定の状況下でブレーキが不適切に作動する問題を確認している。同社は、2017年型と2018年型「ローグ」および「ローグ・スポーツ」の計50万台以上を対象に、問題があればディーラーに持ち込んでソフトウェアを修正するよう所有者に呼びかけている。
米国道路安全保険協会(IIHS)によると、2019年6月においてはABS搭載車の追突事故件数が非搭載車より50%少なかった。同協会は、ABSによって2025年までに2万8000件の事故と負傷者1万2000人の発生を防げると見積もっている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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