EU、今度は人工知能を規制へ ~ シリコン・バレーをまたも狙い撃ち

欧州連合(EU)は、巨大な技術会社らの商習慣や過渡の節税に対する監視や規制を強めるなか、人工知能に関する事業を規制する方策を模索し始めた。

CNBCによると、EUの行政機関である欧州委員会は19日、12週間の審議会を開始し、巨大技術会社らによる人工知能の活用がおよぼす悪影響からEU市民たちをいかに守るかに関する認識と意識に焦点をあわせて協議した。具体的な法規制については2020年下半期の審議会で協議される予定。グーグルやフェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフトに代表される米技術大手の人工知能活用がEU市民を搾取しないかどうかや、各種サービスの利用者たちの個人情報がデータ商品として転売または悪用されないかどうかが議題の一つになる見通しだ。

ティエリー・ブレトンEU事務局長は、「個人データをめぐる最初の商業利用の波または闘いにわれわれは敗北した」とブリュッセルでの記者会見で話した。しかし、「われわれはいま、オンライン・サービスを利用する消費者の個人データの重要性と、人工知能によるデータ解析がもたらす悪影響の可能性を理解した。その次には、産業データを人工知能によって解析する波がやってくる」と同氏は述べた。

EUは、米技術大手らを規制する急先鋒としてみなされるようになった一方で、欧州の技術大手らは、米国と中国の技術会社との競争で劣勢を強いられている。EUの「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation=GDPR)」は2018年に制定され、技術会社らによる利用者データ活用を規制することでEU市民のプライバシー保護の強化を図るものだ。しかし、人工知能技術の進化と応用範囲の拡大によって、プライバシー侵害の危険性がこれからさらに拡大する、とEUは懸念を強めている。

欧州委員会が特に懸念するのは、人権軽視の中国共産党が牽引する顔認証技術だ。GDPRでは、生体データを個人の特定に使うことを原則として禁じている。ただ、規制によって技術開発競争に敗北する可能性も懸念する欧州委員会では、顔認証技術と人工知能技術の応用について、一定の例外を認めることで開発と応用を刺激し、米中大手らとの競争に対抗できるようにする開発奨励環境の整備の必要性も検討する姿勢だ。

【cnbc.com/2020/02/19/eu-launches-plan-to-regulate-ai-aimed-at-silicon-valley-giants.html】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  2. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  3. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  4. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  5. 私たちは習慣や文化の違いから思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、当事務所も多種多様なお...
  6. カナダの大西洋側、ニューファンドランド島の北端に位置するランス·オー·メドー国定史跡は、ヴァイキン...
  7. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  8. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
ページ上部へ戻る