コロナウイルス危機で明暗分かれるテック業界大手ら 〜 ブルームバーグ誌、おもな勝敗と要因を分析

新型コロナウイルス「コーヴィッド19(COVID-19)」の世界的な感染拡大を受け、ブルームバーグ誌は、米テック業界大手らを「繁盛している」「生き延びている」「苦しんでいる」に分類し、今回のパンデミック危機を乗り切るための要因を分析した。

▽繁盛している企業

アマゾン(Amazon.com)やウォルマート(Walmart)に代表される電子商取引大手をはじめ、テレコム会社(キャリヤー)、そしてドアダッシュ(DoorDash)やポストメイツ(Postmates)といった出前サービス大手は、「繁盛している」企業の有力候補といえる。

そのほか、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(Zoom Video Communications)の動画会議システムは、自宅勤務を支える手段として利用者を激増させており、現在、グーグル・プレイ・ストア(Google Play Store)でダウンロード数首位のアプリケーションとなっている。ズームの遠隔会議プラットフォームは、マイクロソフト(Microsoft)のアジュール(Azure)とアマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services=AWS)のクラウド電算サービスでも利用可能。

マイクロソフトとAWSも繁盛している企業群に入る。AWSは、自宅待機者の増加で需要が増えるネットフリックス(Netflix)とフールー(Hulu)もホストしている。

また、ハウスパーティー(Houseparty)やマルコ・ポーロ(Marco Polo)といったソーシャル・メディア・アプリケーションも人気が急上昇している。 

さらに、家庭向け調理方法と食材提供のブルー・エプロン・ホールディングス(Blue Apron Holdings)や大麻宅配サービスのイーズ(Eaze)でも注文が増えている。

それらの事業モデルの大部分には、家で過ごす時間の激増を受けた需要に応えるという共通点がある。

▽生き延びている企業

グーグル(Google)とフェイスブック(Facebook)は、良くも悪くもなく生き延びているテック大手だ。人々は新型コロナウイルスについて信用できる情報を求め、家族や友人とつながりたいと考えている。パンデミック危機による経済活動の停滞によってオンライン広告市場は打撃を受けているものの、両社は、人々のつながりや情報源として利用価値を上げるとみられる。

実際、モバイル・メッセージング・アプリケーション大手のワッツアップ(WhatsApp)の利用量は急増している。ただ、インスタグラム(Instagram)では、利用者たちの不安を反映してか、利用頻度がやや下がっている。ワッツアップもインスタグラムもフェイスブックの傘下企業。

アップル(Apple)は、3ヵ月におよんだ部品調達難を生き残ったが、新型コロナウイルス騒動の終息後に、消費者が高級電子機器の購入をすぐに再開するとは思えないことから、売り上げ低迷をしばらく強いられるだろう。ただ、アップルには各種のサブスクリプション・デジタル・サービスがあるため、余裕で生き延びるだろう。サブスクリプション型のサービス収入源は、単発や一時的な経済危機要因の影響を受けにくい。

インテル(Intel)も、数年前からのパソコン需要低下によって、パソコン向けチップ事業は低迷を続けるだろうが、電子商取引市場の拡大やクラウド電算サービスの需要増によってサーバー事業では恩恵を受けると見込まれる。

▽苦しんでいる企業

リフト(Lyft)やウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)は、新型コロナウイルス危機によって大打撃を受けている。また、2020年中での新規株式公開(IPO)を計画していた民泊サービス最大手エアビーアンドビー(Airbnb)や、オンライン旅行予約サービス大手のエクスペディア・グループ(Expedia Group)、ホテル予約サービス大手のブッキング・ホールディングス(Booking Holdings)も大打撃を受けている。

そのほか、スクエア(Square)やペイパル・ホールディングス(PayPal Holdings)、ストライプ(Stripe)、ブレックス(Brex)といったオンライン決済サービス大手らも打撃を受けている。

消費者の移動が劇的に減少したことからモバイル配車サービスや民泊サービス、旅行予約サイトの需要も激減し、それにともなってオンライン決済の利用件数も減ったことがそれらの会社を窮地に追い込んでいる。

電子商取引の需要増とは異なり、スクエアやストライプ、ブレックスの決済サービスは、物理的商業主たちのオンライン決済をおもな市場とすることから、消費者が外出して消費行動をしなければ需要が発生しない。

▽二つの教訓

今回のパンデミック危機から見えてくるテック業界への教訓は、二つに大別できる。

まず、供給網が企業の成否をつねに分けるということだ。信頼できる供給業者と強固な関係を築いた企業は、強い耐性を維持できる。しかし、下請け業者やボランティア、フリーランサーに依存する業態は危機に対して脆弱だ。

もう一つは、決断力のあるリーダーシップが重要ということだ。アマゾンは先週、10万人の新規雇用計画を発表し、同時に不要不急の商品の自社倉庫への流れを制限する方針を明らかにした。ウォルマートは、15万人の雇用計画と、自社敷地内にウイルス検査所を設けると発表した。

リフトの経営陣は、需要激減を受けて運転者たちへの補償策を打ち出したものの、喪失した収入機会のすべてを補償することはできないため、オンライン販売の需要激増によって倉庫要員と配達要員の大規模臨時雇用増を打ち出したアマゾンやウォルマートにいったん転職することを運転者たちに進言したほどだ。

【https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-03-23/coronavirus-will-hit-these-tech-company-stocks-the-hardest?srnd=technology-vp】(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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