新型コロナウイルス・パンデミックに関連してフィッシングを含むオンライン詐欺行為が急増している。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、連邦取引委員会(FTC)は、2020年初めから3月20日までに、新型コロナウイルスに関連する苦情を1万4000件以上受け取った。被害総額は1000万ドルを超えている。また、連邦捜査局(FBI)は、詐欺行為の急増に対する注意を呼びかけた。
▽公的給付金や航空券返金、検査義務を装う
パンデミックに関係した詐欺行為は、政府の経済対策の給付金や航空会社の返金手続き、慈善寄付、社会的距離(social distancing)違反での罰金、「義務」と称した検査、医療品や治療法に関する通達を装っている。
電子メールだけでなく、テキスト・メッセージ(SMS=short message service)や電話で連絡してくる事例も増えており、いずれもいますぐ行動をとるよう促す内容だ。
「ストレスを感じているときは、いままでにない感情がうず巻く。攻撃者はそこに付け込もうとしている」と、セキュリティー技術を提供するレッド・キャナリー(Red Canary)の共同設立者クリス・ローシ氏は話す。
▽外出制限や社会的距離による孤独感が被害を助長
多くの人が在宅勤務している状況も、普段であれば注意を払わないようなフィッシング(phishing)の試みに対する脆弱性を高めている。
「私たち全員が自宅に捕らわれの身になっている。私自身も電話に応答することが増えた。感情を制御しにくくなっている。家族や隣人が助けを求めているかもしれない」と、50歳以上を対象とした非営利団体AARP(American Association of Retired Persons)で詐欺監視業務の責任者を務めるエイミー・ノフザイガー氏は話す。
AARPの最近の調査では、フィッシング詐欺に対する弱さは、高齢者に限られたことではなく、すべての年齢層に共通することがわかった。
パーデュー大学のエイジング研究センターのマリアン・リウ助教授によると、サポートしてくれる友人や家族のような存在が身近にいない人が詐欺の被害者にもっともなりやすい。
「ソーシャル・ディスタンシングの結果として孤独感を感じていると、フィッシング・メールやテレマーケティングに応じてしまう可能性がある」。
▽テキスト・メッセージにも詐欺用リンク
フィッシングというと、これまでは電子メールを介したものが主流だったが、最近ではテキスト・メッセージが増えている。この種のテキスト・メッセージにも、電子メールの場合と同様にリンクが含まれており、それをクリックすると悪質なソフトウェアがダウンロードされたりする。
詐欺行為者にとって、電話番号は10桁の数字で構成される定形の連絡先であるという点において、不定形の電子メール住所に比べて無作為に生成してメッセージを送りやすい。受信者が「STOP」や「NO」の返信をすれば、それが実際に使われている番号であることもわかる。
また、これまでに流出した顧客データから電話番号が取得されている可能性もある。
▽行動を促す内容には要注意
この種の手口から身を守るには、まず、送られてきたリンクをクリックしたり、添付ファイルをダウンロードしたりしないこと。そして、いますぐ行動を求めるような働きかけには応じないことだ。
また、スマートフォンや電子メールの設定によって、知らない人からのメッセージを遮断することもできる。詐欺行為者は行政機関や公的組織を装って連絡してくることもあるため、発信者番号通知機能にその種の名称が表示されたとしても、すぐには応答せず留守番電話に送るのが賢明だ。
さらに、スマートフォンやコンピュータのソフトウェアを更新して、セキュリティーの脆弱性に対応しておくことも重要だ。
【wsj.com/articles/dont-click-coronavirus-text-and-phone-scams-are-designed-to-trick-you-11586424600?mod=tech_lead_pos4】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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