農家の作物余っても流通に壁 ~ 業務用と個人用は切り替え困難

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて飲食店や食品サービス業者が閉鎖した影響で、米国内ではスーパーマーケットの棚は空なのに農家では牛乳やその他の農作物を捨てているという状況が発生している。背景には、業務用と消費者向けの供給チェーンの壁という問題がある。

■調整には多額が必要

ウォールストリート・ジャーナルによると、国内にはトイレットペーパーも食料も豊富にあるが、業務用の商品を消費者向けに作り変えることは簡単ではない。例えば大学の寮で使うようなトイレ紙は直径が長く、家庭のトイレのホルダーには収まらなかったりするからだ。

業務用と個人向け商品の流通システムは異なり、それぞれの市場に合わせて生産者、販売者、仲介者のネットワークができている。専門家によると、業務用と消費者用の供給チェーンの差は過程が進むに従って大きくなり、それを埋めるには多額の投資が必要で、長期的にその元が取れるかどうかの確約もない。

小売店と食品サービス事業の両方に商品を販売する卸業者は、既存の食料品店との関係を生かして一部のバルク商品を小売店に回すといった試みはできるが、小売店の売り場によっては、大きな米袋や巨大容器入りのマヨネーズなどを置く場所がない可能性がある。

また、商品を袋や箱に詰める業者は、供給チェーンの混乱を短期的と見ているため現状を改善しようと業務のやり方を変えるとは考えにくい。コンサルティング大手キャップジェミニ・ノースアメリカのジョー・バーノン氏は「大規模な手直しは行われていない。投資やコスト面で見ると理屈に合わない」と指摘する。

■業務用は消費し切れず

失業者の急増で、地域に食料を無料配布するフードバンクには連日長い列ができる一方、農家が加工し切れない牛乳や作物を大量に廃棄している状況は衝撃的だが、飲食店や食品サービスの突然の閉鎖によって生まれた供給過多は消費者の需要だけでは吸収し切れない。

自宅にこもる消費者の食生活は変わりつつあり、パンやパスタなどを買い込んで野菜の消費が減っている。さらに、業務用に出荷する野菜をスーパーマーケットに卸すには、連邦の指針に準拠した施設で洗浄、加工しなければならず、基準に合う野菜や魚をレストランに販売している農家や漁業組合も、小売店とは販売契約を結んでいない可能性がある。

中国でコロナ感染が拡大した時、一部の農家や卸業者は、近く賞味期限が切れる食品を販売するウェブサイト「Pinduoduo(ピンドゥオドゥオ)」を活用したが、米国にはこうした全国レベルの在庫処理システムがなく、余った商品を寄付するにも輸送や冷蔵貯蔵などロジスティクスの問題を解決しなければならない。

そんな中でもシアトルのトラック輸送仲介業者コンボイ(Convoy)は、飢餓救済を目指す食料支援団体フィーディング・アメリカ(本部イリノイ州)と連携し、関連のフードバンク/スープキッチン/フードパントリー・ネットワークに基本的な食品や缶製品を寄付した米企業に対しては輸送コストを負担するというプログラムを立ち上げている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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