新型コロナウイルス・パンデミックによって現在閉鎖されている職場が近い将来に再開されれば、社員同士の接触を追跡するソフトウェアの新市場が形成されると見込まれ、大小さまざまな技術会社がその開拓を狙っている。
CNBCによると、従業員デジタル接触追跡アプリケーションの導入計画を明らかにした会社は、今は一部の大企業に限られるものの、接触追跡ツールの市場は数十億ドル規模に成長する可能性がある。調査会社IDCのローラ・ベッカー氏は「社員1000人以上の大企業は、その種のソリューションの活用に向けてより積極的な姿勢を示すだろう」「同市場には43億ドルの潜在性がある」と話す。
アップルとグーグルは現在、非営利団体や公衆衛生当局と協力し、近接接触追跡アプリケーションの基盤技術を開発中だ。両社以外にも複数の新興企業や大学が類似のデジタル・ツールを開発している。アップルとグーグルが開発中のシステム以外の多くは医療関係者を主な対象としており、欧州の公立病院に無料提供される予定だ。
コンサルティング大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)も、従業員デジタル接触追跡アプリを開発している。企業の最高財務責任者を対象にPwCが行った調査では、オフィス再開後のウイルス対策戦略の一環として4分の1近くがその種の技術を評価すると回答した。
そういったソリューションを各社が購入し始めるまでには、確認すべき点がいくつかある。職場での近接接触追跡アプリによって防疫が強化されて従業員らの安全と安心を本当に向上できるのかをはじめ、プライバシーを侵害せずに追跡できるかどうか、そして、その種のソリューションに実効性があるのか、慎重に評価しなければならない。
接触追跡アプリを開発済みまたは開発中の会社の多くは、既存技術を従業員接触追跡目的に転用している。ドイツ拠点のキネクソン(Kinexon)の場合、サッカー選手の動きの追跡といった目的で超広帯域センサー技術を開発してきたが、それを社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)検出用に切り替えて販売している。同社のセンサーは、1個の小売価格が140~200ドル、1個当たり1~2ドルのサービス料がかかる。
そのほか、シカゴのプロクシフィニー(Proxfinity)やカリフォルニア州レッドランズのESRIも、職場でのウイルス対策を目的とした接触追跡技術を開発している。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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