新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、清掃・消毒サービスの需要が急増している。
■1回1000~数十万ドル
ウォールストリート・ジャーナルによると、シカゴのアフターマス・サービシズ(Aftermath Services)は通常、自殺や孤独死、犯罪が起きた現場などの清掃を請け負うことが多く、従業員は防護服に身を固め、正確な手順に従って化学薬品で一帯の表面を洗浄、消毒する。
ところが今は、新型コロナウイルスが付着した可能性のある小売店、オフィス、チェーンレストランなどの清掃で専門知識のニーズが急激に高まっており、同社が2月下旬以降に手がけたコロナ関連の清掃サービスは約500件に上る。
アフターマスには、2014年のエボラ出血熱流行時に作成したものの結局使うことがなかった対応手順ハンドブックがあった。これを参考に同社は2月初め、消毒用の化学物質と個人用防護具を発注したという。サービス料金は、スペースの広さと複雑さに応じて1000ドルから数十万ドルに上る。作業では、まず汚れや油を洗い流した後、特殊な化学物質を塗布したり空中散布したりして、多くの場合一定時間放置して菌やウイルスを殺すのが一般的だ。
■緊急出動12万回以上
小売店からフィットネスクラブまで、今はさまざまなビジネスが施設内の入念な洗浄と消毒を必要としている。小売店は生活に不可欠な業種とみなされることが多く、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)中も営業を続けているが、従業員からも感染者が出ており、ウォルマートやマイヤーなどの大型小売店は安全性を強調して従業員が店内を清掃している様子などをテレビCMで流している。
小売り大手ターゲット、ホテル大手マリオット・インターナショナル、アマゾンなどにサービスを提供している清掃・施設管理会社KBS(本社カリフォルニア 州)のマーク・ミナジアンCEOは「1日12回タッチポイント(人が多く触れる場所の)消毒を行い、場合によっては夜間もやっている」という。同社は3月以降、コロナ感染者または感染の疑い例が出たためすぐに施設内を消毒してほしいという契約企業の要請に対する緊急出動が延べ12万回を超えた。最近は緊急要請は横ばいで、予防的消毒の需要が高まっている。
KBSは高い需要に応えるため、消毒剤や個人用防護具をメーカーから直接仕入れるためのトラックをリースし、宿泊業界の営業休止で手が空いた数千人の清掃員を予防的清掃分野に移さなければならなかった。
■消毒のための雇用増加へ
より小規模な小売店、ジム、レストランも、これまでなじみがなかった消毒への対応に迫られている。国内で99のフィットネスクラブを展開するイクイノックス(Equinox)は、業務再開の手順を作成するため2人の防疫専門家を雇用し、どの消毒剤が新型コロナに有効で従業員や会員にとって安全かなどを研究しながら、薬品を大量購入している。ジムのスタッフは定期的にさまざまな場所の表面を拭き、専用バックパックから消毒剤を散布してすべての表面を覆う予定で、再開後は新しい安全基準の導入で維持管理のためのスタッフが約20%増える見通しだという。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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