JPモルガン・チェイス(JPMorgan Chase)は10月27日、ブロックチェーン技術を使ったデジタル通貨が実際に事業価値をもたらす段階に近づいている、という見方を示すと同時に、独自のデジタル通貨「JPMコイン(JPM Coin)」が今週に初めて商業利用されることを明らかにした。JPMコインは、技術業界大手らが世界各地に送金する目的で使われる予定だ。
CNBCによると、同社はまた、ブロックチェーンとデジタル通貨の新事業「オニキス(Onyx)」を立ち上げたと発表した。オニキスには、現在、100人以上が配属されている。
「ブロックチェーン技術は、研究&開発段階から現実の事業になる段階に移行しつつある。商業化に向けた時期に入ったことを機にオニキスを立ち上げた」と、同社のグローバル・ホールセール(法人向け)事業責任者タキス・ジョーガコポロス氏は話した。
ブロックチェーンは当初、金融業界から製造業、農業まで、あらゆる業界に革新をもたらすという期待がかけられ、数十億ドルの投資を引きつけた。しかし、有形の成果がほとんどないのが現実だ。CBインサイツ(CB Insights)によると、ブロックチェーンの新興企業に対する新興企業への投資額は、2019年に前年比35%減の27億9000万ドルだった。
JPモルガンの動きは、暗号通貨が今後、大衆市場に普及していく兆しと言えるかもしれない。ペイパル(PeyPal)も先週、利用者らが自身のアカウントで暗号通貨を売買かつ保有できるようにする、と発表した。
JPモルガンは、特にホールセール業務での活用を視野に入れている。たとえば、越境送金は提携銀行間の複雑な取り引き網に頼って実行されており、口座情報の誤記といった理由で却下されることもある。国際送金を簡単にする手段があれば、業界全体で数億ドルの経費を節減できる可能性がある。
JPモルガンは金融サービス業界最大手の一社で、100ヵ国以上で1日平均6兆ドル以上を動かしている。
小切手を使う取り引きではブロックチェーン効果が特に大きい。多数の担当者たちが複数の物理的事業所でその処理にあたるためだ。
「数億枚という小切手が送られている。それがブロックチェーンでデジタル化されれば、業界の総コストの75%を削減し、数日ではなく数分で資金を口座に記録することも可能になる」とジョーガコポロス氏は述べた。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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