マイクロソフト、データ・サービス製品を拡充~利用会社のデータ活用効率化と法令順守を大幅に向上

マイクロソフトは12月初旬に、データ統治を目的とした新しいソリューション「アジュール・パーヴュー」を発表し、また、2019年に発表した「アジュール・シナプス・アナリティクス」の一般提供を開始した。ベンチャービート誌によると、企業各社はそれらを採用することで、データの効果的活用や法令順守を簡単かつ大幅に向上できる。本稿ではそれらの内容を前編と後編に分けて解説する。

▽データの可視性と保管方法に革新

アジュール・パーヴュー(Azure Purview)は、データの発見とカタログ化を自動化することで、順守関連のリスクを抑える。組織内のどこにデータが保管されているかにかかわらず、すべてのデータに可視性をもたらす。

アジュール・シナプス・アナリティクス(Azure Synapse Analytics)は、データを取り込んで処理および管理し、必要に応じて提供できるようにする。データ・ウェアハウスやビッグ・データ、データ統合、人工知能といった技術を活用することで、データの保管方法に革新をもたらす。

▽縦割り体制を排除し迅速活用の整備がねらい

企業にとって、データはますます戦略的に価値のある事業資産になりつつある。そのため、データを管理するためのサービスも重要性が高まっている。

データは、単に保管するだけでなく、必要に応じて発見し、また分析できなければならない。さらに、法令や規制の定めるデータ保持要件を満たす必要があるため、順守リスクにも関係する。

マイクロソフトはそれらの分野のサービスを総合的に提供しようとしている。「当社は過去数年にわたってデジタル変革を進めつつある顧客会社らと協力して、どこに課題があるかを理解してきた。重要な基本要素の一つが、縦割りの管理体制を排除して、非常にすばやく洞察を生成できるデータ・プラットフォームを持つことだ」と、アジュール・データを担当するローハン・クマール氏は説明した。

▽アジュール・パーヴューの三つの主要構成要素

アジュール・パーヴューは、組織内の現場に保管されるデータのほか、クラウド上やサース(SaaS=software-as-a-service)上にあるデータすべてのカタログを作成する。どこにどのデータがあるかを理解できるようにし、プライバシー関連の規制順守状況も知らせることができる。データがどのように移動され、共有されているかを把握することで、順守を最大限に高めるのが目的だ。

アジュール・パーヴューには、下記三つの主要構成要素がある。

1)データの発見・分類・マッピング:組織内のデータをすべて自動的に発見して、その特徴や機密性を評価する。
2)データ・カタログ:ウェブ基盤インタフェースから利用者がデータを簡単に検索でき、データの信頼性をグラフで視覚的に表示する。
3)データ統治:データの保管場所や分散状況、移動の履歴を記録して、データの使用状況を理解できるようにする。

追加予定の機能には、EUのGDPR(一般データ保護規則)やカリフォルニア州の CCPA(消費者プライバシー法)といった具体的な法令への順守を支援する機能が含まれる。

▽専門家でなくても使える人工知能

2019年11月に発表されたアジュール・シナプス・アナリティクスは、最近になって製品版として広く提供された。ITを専門としない一般社員でも人工知能を活用してデータを分析できるようにすることがその目的だ。

リレーショナル・データと非リレーショナル・データの両方を検索でき、SQLによるペタバイト級のデータ処理が可能だ。

マイクロソフトによると、シナプス・アナリティクスの発表以来、アジュールでペタバイト級のデータを扱っている顧客の数が5倍に増えたという。

「SQLエンジンとスパーク(Spark)エンジンの両方をネイティブでサポートして統合している。データ科学者らのあいだでスパークが好まれていることはわかっている。データ科学者らはデータ工学者らと協力して機械学習モデルを構築しなければならない」とクマール氏は話した。

▽「モデルに使いたいデータをマウスで指して属性を選ぶだけ」

アジュール・シナプス・アナリティクスは、インテリジェントなワークロード管理やワークロード隔離といった機能でクエリー・パフォーマンスをリアルタイムに最適化する。また、パワーBI(Power BI)およびアジュール・マシーン・ラーニング(Azure Machine Learning)との統合によって、処理済みのデータの共有を単純化する。

「アジュール・マシーン・ラーニングはドラッグ&ドロップで操作できるため、基本的に、モデルに使いたいデータをマウスで指して属性を選ぶだけだ」「モデルに一度学習させれば、あとはSQLとスパークのクエリー内でそのモデルを自動的に使える」と、クマール氏は説明した。

▽過去1年間で数百社が採用

同氏によると、過去1年間で数百社がアジュール・シナプス・アナリティクスを導入した。大手では、フェデックスやP&G、情報サービスを提供するヴォルタース・クルーワー(Wolters Kluwer)が使っている。

「(アジュール・シナプス・アナリティクスは)アジュール上でもっとも急成長しているデータ・サービスの一つだ。顧客数でも使用件数でも大幅成長がみられる。会社らは、シナプスの分析をいままで以上に頼りにするようになっている」とクマール氏は述べた。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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