ことしの消費者電子製品見本市(CES=Consumer Electronics Show)2021は、50年以上の歴史のなかで初めてオンライン開催される。トムズ・ガイド誌によると、CESの主催団体である消費者技術協会(CTA=Consumer Technology Association)のスティーブ・ケーニック調査担当副社長は、オンライン開催されても技術市場の動向を反映することに変わりはなく、今回の場合、おもに下記5つがその特徴となる、と話した。
1.コーヴィッド(Covid)19社会を受けた個人向け健康管理技術
新型コロナウイルス・パンデミックによって自宅で過ごす時間が激増したため、各種のデジタル機能を搭載したジム(運動)機器への関心が高まっている。
そのほか、空気清浄機や浄水システム、紫外線消毒器(ロボット)の需要もすでに高まっている。
さらに、2020年に発売された指輪型端末のオーラ(Oura)のような機器も注目されている。心拍数や睡眠の質、体温、そのほかの生命兆候を手軽に検出するオーラは、コーヴィッド感染の兆候を早期に検出するためにNBA(全米バスケットボール協会)選手らにすでに配布されている。
2.身体装着端末への音声基盤仮想執事機能の統合
2021年には人工知能技術の革新がさらに加速し、その結果、アマゾン・エコーやグーグル・ホーム、アップル・ホームポッドに代表される据え置き型仮想執事端末の機能の携行化が進む。
それを受けて、アマゾンのアレクサやグーグル・アシスタント、アップルのシリといった人工知能の機能を外出時にも音声指示で使えるようになる。その手段は、スマートフォンだけでなくスマート腕時計やスマートめがね、そのほかの携行型端末にまたがる。
また、消費者向けだけでなく、たとえば配送センターやそのほかの産業施設での応用も加速すると予想される。
3.5Gの浸透と人工知能との融合
2021年は、人工知能と5Gの融合が経済全体に変革をもたらす年になる。クアルコムの依頼を受けて調査を実施たIHSマーキットによると、5G関連の雇用機会は2035年までに 228万件、5G関連の世界売り上げは13.1兆ドルに達すると予想される。
2021年にスマートフォンを買い換える消費者のほぼすべての機種は5G対応機種となり、産業用モノのインターネット(IIoT=Industrial Internet of Things)接続網や検知器網も5G対応となる。その結果、倉庫作業から物流、農業、鉱業、自動運転車、ドローンまでさまざまの業界が、5G接続網によって実現する大量のデータ逐次転送や、人工知能を基盤とする末端電算によるデータ解析といった恩恵を受けるようになる。
4.小型LEDや8Kテレビ、動画対話用カメラの台頭
2021年に市場投入されるテレビでは、OLED(organic light-emitting diode)パネルと8Kが主流化する。その一方で、小型あるいは超小型のLEDパネルの技術革新が結実し、OLEDに匹敵する画質をLEDの価格で提供できるようになるため、端末類のディスプレイの質が大幅に向上する。
そのほか、家族や友人、さらには仕事上での動画対話需要の激増を受けて、高画質での動画対話を簡単に実行できるようにするカメラの商機が生まれる可能性も想定される。
5.より身近なロボットの普及が本格化
パンデミックによって社会的距離(物理的距離)の維持を推進するために、多種多様の業種において自動化または遠隔化の必要性にせまられた結果、たとえば病院では、ロボットを使った遠隔診察や院内消毒が一気に普及した。2021年にはそういった動向がさらに強まり、それがことしのCESに反映される。
自律走行ロボットによる出前配達も2021年に拡散すると見込まれる。自律走行ロボットによる料理配達サービスは、米国内ではまだ正式に商業化されておらず、一部の自治体で試験的に許可されているだけだ。2021年にはそれが全米各地に広がる。配達人にチップを払う必要がなくなるため、消費者は歓迎するに違いない。
ことしのCESは、1月11日~14日まで完全デジタル開催される。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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