議事堂乱入受け、企業も警備態勢見直し

ワシントンDCでこのほど起きたトランプ大統領支持者による連邦議会議事堂への乱入事件を受け、企業はセキュリティー戦略の調整や人事方針の見直しを行っている。

■幹部執務室に警備員

ウォールストリート・ジャーナルによると、今回の事件で明白になったのは、企業は会社の敷地内で生じるリスクをこれまでより適切に監視し、管理する必要があるということだ。特にこの1年は、新型コロナウイルスの大流行とその経済的影響から人員削減を迫られた企業が増え、解雇された元従業員などからの物理的な脅威が高まった。

米国で最も警備が強固な建物の1つといえる議事堂でさえ群衆が乱入できたということは、企業にはやるべきことが多いということになる。ノースカロライナ州立大学の研究機関「企業リスク管理イニシアチブ(ERMI)」のマーク・ビアズリー氏は「私が今企業のCEOだったら、執務室に警備担当者を配置するだろう」と話す。企業は今回の暴動について研究し、自社の対応準備の参考にすると考えられる。今回の事件をきっかけに、店舗や社屋、工場などを狙った同じような事態が起きる可能性もある。

■物理的脅威が激増

テキサス州のソフトウェア会社オンティック・テクノロジーズ(Ontic Technologies)の調査部門が12月発表した報告書によると、企業の経営幹部の 69%は「2020年は自社に対する物理的脅威活動が劇的に増加した」と答えた。オレゴン州のリスク管理および法令順守ソフトウェア会社ナベックス・グローバル(Navex Global)の幹部は、会社に抗議する人々や本気で銃撃を仕掛ける人々の侵入といったリスクに従業員を備えさせるため、企業は警備計画の策定や見直し、そして研修の提供を検討する必要があると指摘する。

今回の事件を受けて、一部の企業はトランプ大統領とその支持者から距離を置こうとしているが、こうした決定が企業を物理的な脅威にさらす恐れもある。 ERMIのビアズリー氏によると、事態を傍観する企業も評判を落とす可能性があり、特に顧客が何らかの態度表明を期待している場合、立場を示さない企業は良くない会社として注目されたり不買運動に直面する可能性もある。また、特定の政党支持者から好まれているブランドも、反対の態度を強めた場合、資産や従業員に物理的または評判上のリスクが降りかかる可能性がある。

■雇用にも配慮

混乱から生じる別のリスクは、社員が暴動に関わる可能性だ。ソーシャルメディアで画像を見て議事堂乱入に参加した従業員を解雇した企業もあるが、警備の専門家によると、解雇は不満を持つ社員からの報復という形で物理的リスクを高める可能性がある。

ナベックスのボブ・コンリンCEOによると、採用希望者に身元調査の受け入れを義務付けたり、雇用契約に違法行為で有罪判決を受けた場合の処分に関する条項を追加したりすることも、組織ができるリスク対策の一つだ。「重要なのは、企業が社会問題に正面から向き合えば、強力で前向きな職場を構築できるということだろう」

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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