新型コロナウイルスの感染拡大でオフィスの機能や仕事の仕方が大きく変化しており、コロナ収束後はオフィスに机を置かず、個人の仕事は自宅で行うやり方に変更を計画する企業が増えている。
■オフィスでの個人作業禁止
ウォールストリート・ジャーナルによると、ソフトウェア企業ドロップボックスはパンデミック収束後にデスクレスというトレンドを受け入れようとする雇用主の1つだ。同社は何カ月もかけてオフィスと職場の慣行を検討し直し、施設の再開後はサンフランシスコ近郊などのオフィスをチームの会議や共同作業用の「ドロップボックス・スタジオ」に変え、基本的に社員が個別作業をすることを禁止する計画を2020年中に発表した。創設者のドリュー・ハウストンCEOは「これは恒久的な変化であり、後戻りはできない」と話している。
ドロップボックスでは今後、週に1回会議の日にオフィスに来る人もいれば、四半期に一度しか来ない人も出てくる。ほとんどの社員にとってオフィスでの日常業務は不可能になり、居住地に関する柔軟性は高まる。自宅以外にデスクが欲しい人は、会社の負担でウィーワークのような共有オフィスも利用できる。またドロップボックスは、不動産の面積を減らしてコストを節約すると同時に、従業員がオフィスへの移動に飛行機を支えるよう出張予算を増やすことも検討している。
■完全排除には消極的
複数の調査によると、多くの経営幹部は、目標の設定、問題の解決、新しい提案や製品についての話し合いには直接の対話が必要だと感じており、オフィスの完全放棄には消極的だ。また、机をなくしてもある程度の調整が必要になる場合がある。デスクは、仕事に専念できる場所、コンピューターの前で昼食を取れる便利な場所、写真から予備の上着や作業ファイルまでさまざまな物を収納できる場所など、複数の実用的な機能を果たすことも多い。
毎日誰かの隣に座ることは、人間関係や職場とのつながりを深め、同僚を助けることもでき、職場は小さな自己認識の感覚も提供する。人事・給与情報管理会社ADPの人事部門幹部は20年、何カ月も離れた場所から仕事をした後で本社のプライベートオフィスに戻った時は感動で泣きそうになったという。
■イベントなどの拠点に
多くの企業は今、新しいオフィスの構築方法を模索している。クラウドソフトウェア企業のVMウェアは、コロナ以前は建物の床面積の約70%をデスクと個々の作業区域に割り当て、30%を会議と集会用に使っていたが、今後はオフィスの 50%~70%を共有スペースに改装する計画を進めている。社員の約20%は以前と同様にオフィスで働くが、多くはリモートで作業し、オフィスに来る頻度が大幅に減るハイブリッド方式になる。
同社のパトリック・ゲルシンガーCEOは「オフィスはハブ、すなわちマネジャーがチームを招集してイノベーションスプリント(短期集中型会議)や祝賀会、文化活動などのイベントを開催する場所といった役割を担うことになる」と予想している。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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