米国人は過去1年のあいだ、新型コロナウイルスの感染恐怖や近親者の死、収入激減、孤独感、将来への不安による精神的苦痛および疲労を強いられながら新年を迎えた。テッククランチ誌によると、特に精神衛生への大きな悪影響がしばらく前から懸念されており、それが今後さらに深刻化する可能性も排除できないため、デジタル精神衛生ソリューションが2021年に台頭すると予想される。
▽米国人5人に二人が精神障害
コーヴィッド(COVID)19のワクチン接種が各国で始まり、部分的には正常化に近づいたという期待材料もある。しかし、パンデミックによる長引く影響は避けられないというのが専門家たちの見方だ。それによって精神衛生の悪化に悩まされる人が増えると予想される。残念がら、精神疾患のワクチンは存在しない。
米国には、4500万人近い精神障害患者がいる。精神障害の症状は2020年に急激に悪化し、現在、その患者数は急増中だ。2021年になってから米国人5人に二人がコーヴィッド19による精神障害に悩まされているとみられる。
▽従業員の精神衛生を注視する経営幹部も増加
そこで期待されるのが技術応用による対策強化だ。精神疾患解消ソリューション提供に取り組む新興企業は増えており、また、そういった新興企業へのベンチャー・キャピタル投資も増加中だ。
さらに、産業界の主導者らも精神衛生を重視し始めている。企業の一部では、経営幹部らが従業員の精神衛生を強化しながらパンデミック危機から抜け出すことを図る技術革新を注視するようになった。
モートリー・フール誌は精神衛生ソリューション分野の新興企業トップ5社として、トークスペイス(Talkspace)、ヘッドスペイス(Headspace)、ベターヘルプ(BetterHelp)、ブライトサイド(Brightside)、カーム(Calm)を挙げた。
かたやスタートアス・インサイツ誌では、クラリジェント・ヘルス(Clarigent Health)、セヴンカップス(7Cups)、ムードパス(Moodpath)、メディトピア(Meditopia)、センティオ・ソリューションズ(Sentio Solutions)を新興企業トップ5社に挙げている。
▽精神科医の76%が遠隔医療で診療
実際、デジタル精神衛生ソリューション群の利用者は激増しており、精神科医の76%が遠隔医療によって患者の治療にあたっている。これまでの考察や検証では、精神衛生を大規模に管理するのに明確な効果が確認されたデジタル・ソリューションは、証拠にもとづいた倫理的かつ個人化された治療法だ。
遠隔医療は、移動困難者でも簡単に治療を受けられる解決策として効果を発揮している。
証拠にもとづいた倫理的かつ個人化されたデジタル治療手法にとって重要なのは、データ科学とデータ分析だ。精神疾患は個々の患者の固有の状況によって異なるため、個々の患者向けの治療法が必須だ。そのためには、データ科学を基盤とするデータ分析によって裏づけられた解消策の特定が重要となる。
▽有効性を証明したソリューションはわずか14%
それに取り組むいくつもの精神衛生アプリケーション開発新興企業らは、自身のアプリケーションが有効だと証明する必要がある。現時点ではその面においてまだ課題が残されている。
最近の調査では、有効を謳う精神衛生アプリケーションは全体の64%を占めたものの、有効性を実際に裏づける証拠をともなったものは14%にとどまった。
メディカルスタートアップス誌では、パンデミックを受けて急増した精神衛生ソリューション新興企業のなかから上位73社を番付けして1月12日に公表した。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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