衣料品販売、実店舗でも回復~累積需要、ワクチン接種などで

米国内では人々がスウェットパンツを脱ぎ、いろんな服装をする準備に入っている。再び交流の場に出かけたり、職場復帰に備えたりするためだ。新しい服を買いたくても着る機会がなく積み上がっていた需要、政府給付金、ワクチン接種率の上昇、新しいスタイル、そして新型コロナのパンデミックの間に増えた(または減った)体重…。これらの要因が重なって、ここ数年にないほど服の売り上げが増えている。

■人気はカーゴパンツとスリッパ

ウォールストリート・ジャーナルによると、過去2、3週間は、ボタンやジッパーが多いパンツ、特にウエストにひもやゴムが入った製品がよく売れている。高級百貨店サックス・フィフスアベニューでは、ワンピース、ブラウス、サンダルの売れ行きが、2019年春以来の水準に高まっている。また紳士服ブランド、ヘガー・クロージング(Haggar Clothing)の物流センターでは、デパートや小売店にパンツやブレザーを補充するため従業員が残業している。

実店舗へ足を運ぶ人の数も、ほぼパンデミック前の水準に戻っている。19年同期と比較すると、21年4月5日の週に実店舗を訪問した人の数は3.4%減だった。分析会社プレイサー・エイアイ(Placer.ai)によると、前年同期から20%以上減っていた21年初めよりも現在は状況が改善している。

消費者は週末旅行に行ったり、外出時に店に立ち寄ったりするようになっており、プレイサーのイーサン・チェモフスキー副社長(マーケティング担当)は「これは人々が正常な行動に戻りつつあることを示している」と指摘する。

■カジュアルでも見栄え良く

金融サービス大手UBSグループのアナリスト、ジェイ・ソール氏によると、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(American Eagle Outfitters)やザ・バックル(The Buckle)といったブランドも、売り上げがパンデミック前の水準に戻ったと報告している。今後数週間でさらに多くの小売業者が売上増を報告すると見込まれる。

ただし、格付け会社ムーディーズのシニアクレジットオフィサー、ミッキー・チャダ氏は、経済が回復すると人々が旅行その他の購買行動をするようになることから、衣料の販売回復は短命で終わる可能性もあると指摘する。

全ての人がスーツやパンプスを再び身に着ける訳ではない。パンデミックの前から、服装はよりカジュアルな方向に向かっていた。人々が部屋着とスリッパで多くの時間を過ごしたこの1年で、その傾向はさらに強まった。とはいえ、多くの人がかっちりしたスタイルに戻りたいとは思っていないけれども、家を出る時には見栄えを気にしている。

百貨店大手メイシーズのナータ・ドバール氏は「人々は家の外でもカジュアルな服装で過ごしたいと考えるようになっている」と話す。同社の通販ウェブサイトで最も頻繁に検索される商品は、室内、屋外ともに「スリッパ」だという。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. 今年、UCを卒業するニナは大学で上級の日本語クラスを取っていた。どんな授業内容か、課題には...
  2. ニューヨーク風景 アメリカにある程度、あるいは長年住んでいる人なら分かると思うが、外国である...
  3. 広大な「バッファロー狩りの断崖」。かつて壮絶な狩猟が行われていたことが想像できないほど、 現在は穏...
  4. ©Kevin Baird/Flickr LOHASの聖地 Boulder, Colorad...
  5. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  6. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  7. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  8. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
ページ上部へ戻る