新型コロナウイルスのパンデミックによる規制の緩和に伴い、各地のモールには買い物客が戻るかもしれないが、eコマース関連業者は今後もインターネット通販の勢いは継続すると見ている。
■前年同期比はまだ増加
ウォールストリート・ジャーナルによると、コロナ禍を受けたオンライン注文の急増でビジネスが急成長した物流業者は、コロナ感染の大流行が始まった当初、電子商取引が急速に広まったことが消費者の購買習慣に長期的な変化をもたらしたと見ており、投資と楽観的な見通しを継続している。
オンライン購入への移行は、アマゾンのようなeコマース大手だけでなく、強力なデジタル機能を備えたウォルマートやターゲットなど実店舗主体の小売店の成長も後押しした。さまざまなウェブサイトの動きを追跡しているアドビ・アナリティクスによると、2020年の米オンライン売上高は前年比42%増の8130億ドルだった。
デジタル事業の急拡大は配送業務を力強く成長させることにもなり、サプライチェーン技術や、ショッピファイ(Shopify)、ラディアル(Radial)、シップボブ(ShipBob)といった電子商取引のプラットフォーム提供業者に対する多額の投資を促進した。
しかし、最近では州のロックダウン(都市封鎖)解除を受けて実店舗やレストランの業績が改善しており、オンライン店を含む無店舗小売店の21年4月の売上高は前月比0.6%減少の877億2000万ドルだった。ただし、前年同月比では14.5%増加したと推定される。同年1~3月期の米小売売上高のうちeコマースの構成比は13.6%で、年末商戦を含む20年10~12月期と同じだが、四半期別で同年最高だった4~6月期の15.7%からは低下した。
■消費者はネット購入続ける
過去1年の消費者の購買パターンの変化で恩恵を受けた企業は今、パンデミック後にオンライン購入の勢いがいつまで続くか見極めようとしている。コンサルティング会社アリックス・パートナーズが3月下旬と4月上旬に米消費者1000人以上を対象に行った調査によると、買い物客の33%は引き続き衣料品のオンライン購入を続ける予定で、25%は食料品の購入を続けると答えた。
物流業者や小売業者は商品の流れを迅速化するためITや自動化に多額を投資しており、今も店舗向けの在庫を減らし、eコマース用を充実させるというシフトを続けている。コール・ハーンやアシュリー・スチュワートなどに注文履行および技術サービスを提供するラディアル(ペンシルベニア州拠点)のイリアン・シンプソンCEOは「多くのブランドが長期的な戦略を見直し、事業形態を変更し、eコマースの構成比を高めている。取り引きブランドのほとんどは非常に野心的なeコマース事業の成長目標を掲げている」と話す。
ラディアルでは、全体の取扱量はパンデミックのピーク時からは減少しているが、需要はまだ19年水準より高く、北米や欧州で配送センターの開設を続けている。シンプソン氏によると、いくつかのブランド幹部が「店舗の客足は戻っているが売り上げはパンデミック前の水準に達していない」と話しており、店舗はまだ在庫の補充に苦労している。「ウィンドウショッピングはできるが、購入はオンラインでしなければならない場合もある」という。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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