米国人の過半数は、動画視聴手段の多様化が進んだ現在でも、多くの時間をネットワーク・テレビ(日本の「キー局」に相当)やケーブル・テレビの視聴に費やしているが、デジタル動画逐次再生が継続的に視聴時間を奪っていることがニールセンの最新調査によってあらためて明らかにされた。
CNBCによると、ニールセンは6月17日、米国内でテレビ画面に費やされた時間のうち、ネットワーク・テレビとケーブル・テレビが計64%を占め、26%は、ネットフリックス(Netflix)やフールー(Hulu)に代表される動画逐次再生(配信)サービスで占められた、と報告した。また、8%は「そのほか」だった。「そのほか」には、VOD(video-on-demand)や、ケーブル用STB(set-top box)経由での逐次再生、あるいはビデオゲームやDVD視聴が含まれる。
従来型テレビ・サービスでの視聴時間の占有率64%に対して動画逐次再生サービスの26%はそれほど大きくない数字に思えるが、成長率でみるとテレビ業界にとっては脅威的だ。動画逐次再生サービスが視聴時間全体に占めた割り合いは2020年に約20%だった。1年間で20%から26%への拡大は非常に速い。それに対し、従来型テレビ・サービスに費やされる時間は微減傾向が続いている。ニューヨーク・タイムズでは、動画逐次再生サービスの視聴時間が占める割り合いが2021年末までに33%に達する可能性がある、と報じている。それらの立場が逆転するのは時間の問題だ。
米消費者が従来の有料テレビ・サービスを解約して逐次再生サービスに移行する動きは何年も前から顕在化している。特に、新型コロナウイルス・パンデミックによって自宅内娯楽時間が激増したため、その動きがさらに強まっているとみられる。
調べによると、2020年以来、米国内で700万近くの世帯が従来型の有料テレビ・サービスを解約し、過去最高記録を更新した。その一方で、平均的な世帯では、何らかの有料動画逐次再生サービスに加入している、とデロイトが4月に報告した。
動画逐次再生サービス市場は過去2~3年間に競争が一気に激化した。それ以前には、開拓者のネットフリックスを筆頭にフールーやユーチューブが主力だったが、アップルTV+やアマゾン・プライム・ビデオ、ディズニー+が参入し、激戦市場と化した。
同市場ではこれまでのところ、ネットフリックスとユーチューブが勝者とみなされている。それぞれ約6%の視聴時間占有率をにぎっている。そのほか、ディズニー傘下のフールーが3%、アマゾン・プライム・ビデオが2%、ディズニー+が1%と続く。ただ、成長率ではディズニー+の躍進が目覚ましい。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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