昨今、多くの会社は自社内で業務を完結するのではなく、業界内外の提携各社と協力して業務を遂行するようになっている。フォーブス誌によると、それを受けて、従来型の企業資源計画(Enterprise Resource Planning=ERP)システムにも変化が求められるようになった結果、ネットワーク資源計画(NetworkResource Planner=NRP)という概念のソフトウェアに移行する動きが強まりつつある。
▽単一社内で完結しない価値連鎖が当たり前に
情報時代には、企業による価値創造と価値消費の過程が、通常なら各社の境界線内で起きた。各社は自社のデータ入力を処理して、その結果を出力し、それらのデータへのアクセスを自社内で保護してきた。
それぞれの過程には、入力から最終出力までの価値創造を管理する価値連鎖や供給網が存在する。それらを管理するのがERPアプリケーションだった。
しかし、こんにちの事業体は、伝統的な境界線を越えて業務を遂行することが増えている。新たな付加価値を創造するために業界内外の提携各社と協業することが多々あるためだ。
▽協業網参加者らがブロックチェーンで接続化
協業網化された入力と出力を管理するには、新世代のソフトウェアが必要になる。そこで登場したのがネットワーク資源計画(NRP)と呼ばれるソフトウェアだ。NRPは、ブロックチェーン・ソフトウェア上に構築され、分散型台帳を活用して協業網の参加者らがERPシステムの限界を超えられるようにする。
ERPが管理する伝統的な業務過程では、生態系の参加者らがデータを共有することはできないため、真に互いを信用することができない。そのため、中間に入る決済エンジンを使ったり、契約を頼りにしたりすることになる。しかし、契約は信頼や透明性を生み出すものではなく、世界に対する共通の見方をもたらすこともない。
協業網化された事業という新しい現実にあって古い取り引き構造がうまく機能しなくなっている一方で、各社が協業すればするほど、セキュリティーやプライバシーの重要性は高まる。ERPシステムは古いモデルでは機能したが、新しい世界ではNRPが求められている。
▽貿易取り引きの合理化に最適
NRPソリューションが特に適していると思われる分野の一つは貿易決済だ。
貨物コンテナが売り手から買い手に届くまでには最短でも数日かかり、長ければ数週間かかる場合もある。売り手と買い手は通常、別々のシステムでその取り引きを管理する。そのため、データを共有せず、したがって透明性がなく、相手を完全に信頼することができない。買い手は、商品を見るまで代金を払いたくないと感じる。売り手は、取り引きを継続するために現金が必要だ。そのため、第三者の保管口座や信用状を利用して資金を調達することになる。
NRPソリューションを使えば、まったく異なる取り引きが可能となる。売り手と買い手の両方は、ブロックチェーンの分散型台帳を基本とする共通プラットフォームにアクセスすることで透明性と信頼を構築できる。中間業者や第三者の介入が不要となり、取り引きにかかるコストを大きく削減できる。多くの取り引き先を同じプラットフォームに集めれば、その利点はさらに拡大する。
▽異業界の複数社が統一プラットフォームで連携可能に
1社ではなく複数社の生態系によって事業が構築される好例として電気自動車(EV)が挙げられる。EV市場を確立するには、自動車メーカーだけでなく、充電基幹設備を構築する業者や充電場所を提供する小売業者、さらに電池部品を提供する会社も必要となり、巨大な生態系が形成される。
それぞれの立場の事業体をすべて管理できる統一プラットフォームがあれば、たとえば小売店や喫茶店が駐車場で充電設備を提供しようと思った場合に簡単に参加できる。EVメーカーらは、充電設備がどれだけ普及しているかを示すことで、EV購入者の不安を取り除ける。
このように、NRPソリューションは、一つの業界全体あるいは複数業界にわたって経営資源を管理する方法をもたらす。価値連鎖の生態系構築が多くの業界で重要な戦略になりつつあるなか、この種のシステムは今後ますます重視されるだろう。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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