プーチン戦争(ロシア軍によるウクライナ侵攻)が続くなか、対露経済制裁と供給網混乱によって主要な取り引き商品の不足が加速しており、その結果、汚職の温床となる恐れが指摘される。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、石油や小麦、肥料、ネオン、鉄といった重要な取り引き商品は、対露経済制裁とプーチン戦争によってロシアとウクライナからの供給が途絶えている。そのため、安易な考えの部外者や代理人らが賄賂をわたして取り引きしようとする可能性が高まっている。
法律事務所ウィンストン&ストロウンのパム・デイヴィス氏によると、ほとんどの汚職事件と同様に、最大のリスクは第三者業者の動きだという。
影響が特に懸念されるのは税関だ。会社やその代理人が通関業者に賄賂をわたして、税関を問題なく通過するよう働きかける事態が考えられる。2008年に石油価格が史上最高水準に上昇したときにはそういった汚職が発生し、2010年には石油サービス会社5社と貨物輸送業者1社が、多くの国の通関業者に賄賂をわたした問題で米証券取引委員会(SEC)および米司法省と和解している。
また、商品の出所を偽装し、経済制裁の対象品を合法的な供給元からの品物であるかのように見せかけるために賄賂を使う例も考えられる。リスク管理&規制遵守サービス会社エクシジャー(Exiger、ニューヨーク州拠点)のブランドン・ダニエルズ社長は、「大きな経済封鎖が起きた場合位は、商品提供元をごまかそうとする人たちがかならず出てくる」と指摘する。
鉱業大手リオ・ティントは、鉄鉱石価格が急騰した2009年に、中国で贈収賄に関与した容疑で数人の従業員が訴追された。
ダニエルズ氏は汚職対策について、請求書発行と取り引きに関する監視を強化し、新しい取り引き先の異常を検知し、外部業者に対する調査活動を強化する必要がある、と話した。また、各社の経営責任者は、結果を重視しすぎると従業員が安易な方法に走る可能性があることに留意する必要がある、と同氏は警鐘を鳴らした。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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