新興企業の創業者らが資金調達する際にかならず持ち上がる質問の一つが、「自分の会社は自分にいったいいくら払えばいいのか」ということだ。この種の質問は、取締役会や助言者らに相談できないめずらしい事例の一つでもある。創業者自身にとって適正給料がいくらなのかは判断が難しい。
テッククランチ誌によると、新興企業を顧客とする会計事務所クルース・コンサルティング(Kruze Consulting)は、新興企業らのCEOの給与に関する年次報告書を更新し、2022年におけるCEOらの給与が2021年にくらべて2.7%上昇し、米国のインフレ-ション率を大きく下回ったことがわかった、と報告した。
2022年第1四半期における米消費者物価指数(Consumer Price Index=CPI)は、歴史的高水準の8.5%に急上昇した。先進諸国では、相対的に価格変動が大きい食品価格とエネルギー価格を総合インフレ-ション率を除外したコア・インフレ-ション率が重視される。CPIはその土台となるもっとも重要な指標の一つだ。
クルース・コンサルティングは、250社以上のベンチャー企業のCEO給与を調査した。2022年におけるその平均給与は年間約15万ドルだった。同社によると、2021年に2.7%上昇したことは、新興企業CEOらの給料がコーヴィッド19(COVID-19)の影響を受けて急減した2020年比では7.9%の上昇にあたる。
同社はまた、新興企業のCEOの給与が、当該企業の調達資金(ベンチャー・キャピタルまたはシード投資)の額によって異なることを裏づけた。資金調達額が200万ドル未満の新興企業のCEO給与平均は年間10万6000ドルであるのに対し、1000万ドル以上調達した新興企業ではそれが平均20万ドル近くに上がる。
業種別では、ハードウェア新興企業のCEOの平均年俸は平均11万2000ドルで、最下位付近の水準だ。ハードウェア事業は約30年前から一般的には利幅も成長も頭打ちの業界だ。
一方、バイオ技術や製薬分野では平均16万1000ドルだ。それらの分野では、創業者やCEOが医師であり、ほかの専門職でも医師や博士で占められることから、研修費や機会創出費が高くつき、CEO給与も上がるとみられる。
イーコマース新興企業の創業件数は前年より大幅に増え、同業界のCEO年俸平均は14万1000ドルだった。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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