テスラの電気自動車(EV)を含め世界中で使われているスマートロック(電子錠)は、ブルートゥース技術に弱点があり、ハッキングによって遠隔操作で解錠される可能性があることが英企業の研究で分かった。
ロイター通信によると、英サイバーセキュリティー企業NCCグループは、テスラ車を使って電子錠の弱さを実証した。実験の様子を収めた動画では、同社の研究者が、車と所有者の携帯電話が離れている場合でも互いが発する微弱な電波をつなぐことが可能な「リレーデバイス」と呼ばれる装置をラップトップに取り付け、これを使って2021年型のテスラ「モデルY」のドア錠を解除し、運転して見せた。
NCCグループは「これは、信頼されているBLE(低電力ブルートゥース)通信技術に依存する製品がぜい弱で、地球の裏側からでも攻撃できることを証明した」と警告している。BLE技術は、承認された通信機器が近づくと自動的に開錠するシステムで、世界中の数百万台の車や建物などのスマートロックに使われている。
NCCによると、すべてのスマートロックは同じ方法で開錠できる。同社はまた、この弱点はソフトウェア・パッチで修正できる従来のバグ(プログラムの欠陥)とは異なり、BLEベースの認証システムはもともと施錠・開錠のために設計されたものではないとも付け加えた。
同社は「人々が自分の車や家、個人データを守るために頼りにしているシステムに、安価な市販ハードウェアで簡単に侵入できるブルートゥース近接認証技術が使われている。特にセキュリティの問題が絡む場合、その危険性が顕著になる」と指摘した。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年10月7日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
AVのAIシステムに弱点~マルウェア攻撃のリスクに
-
2024年10月4日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
ハリウッド俳優ら、自分の声の商業化に本腰 〜 メタ、生成人工知能の音声として使用契約に大金を投じる
-
2024年9月30日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV所有者の多くが自動車ローンに多額の含み損
-
サンノゼ市、行政における人工知能の活用法を模索 〜 過去の批判を教訓に路上安全性改善から着手
-
フィンテック大手イヴォルヴ、サイバー攻撃の被害に 〜 身代金の支払いを拒否、顧客情報を闇サイトで公開される
-
2024年9月20日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
クラウドストライク騒動を受けてサイバー攻撃が急増 〜 MS-ISACの専門家が警鐘を鳴らす
-
2024年9月19日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
事故車の修理がより煩雑に~先進安全技術の搭載で
-
アマゾン、全従業員の週5日出社を義務化へ 〜 組織構造の簡素化や企業文化醸成、機動性強化もかかげる
-
バーコードからQRコードへ~小売業界、27年には完全移行か
-
ラスベガスの公共交通機関、武器検出人工知能システムを導入 〜 自治体による大々的採用は国内初、凶悪犯罪即応能力を強化