人工知能の利用方法を規制しようとする動きがここしばらく活発化している。ベンチャービート誌によると、ニューヨーク市議会は2021年11月に、人材採用と雇用に際しての人工知能の使用法に幅広く対応しようとする条例を可決した。人工知能による偏見や差別が人材採用過程に反映することを防止することがその骨子だ。
また、カリフォルニア州議会は4月に、州法1651号として「職場の技術に関する説明責任法(Workplace Technology Accountability Act)」を承認した。同法では、雇用主が従業員のデータを収集したり、従業員監視用ツールやアルゴリズムを使用したりする際に、従業員に事前通知することを義務づける。
さらに、バイデン政権は最近、司法省と雇用機会均等委員会の共同調査にもとづいて、「障害のある雇用応募者がその採用過程で不利に立たされることがあれば、人材採用の意思決定にアルゴリズムや人工知能を使う雇用主がアメリカ障害者法に抵触する恐れがある」と説明した。
司法省の公民権担当弁護士補佐クリスティン・クラーク氏は、技術活用の増加によって「一部の根強い差別が拡大していることは疑いの余地がない」と話した。
それとは別に、顔認証ソフトウェアを開発し、数十億枚という顔写真へのアクセスを販売して論争を呼んだクリアヴューAI(Clearview AI)は先日、2020年から続いていた訴訟で和解した。同社は、イリノイ州の州法「バイオメトリック情報プライバシー法(Biometric Information Privacy Act)」に違反した疑いで、アメリカ市民自由連合(American Civil Liberties Union=ACLU)から訴えられていた。クリアヴューは和解の一環として、ソフトウェアを民間会社に販売しないことに同意した。実質的に各地の警察組織のみが販売先となる。
米国における人工知能をめぐる法環境は「開拓時代の無法な西部」と同じだ、とインフォシス・コンサルティング(Infosys Consulting)の人工知能&サイバーセキュリティー責任者セス・シーゲル氏は指摘する。
法整備が後手に回っているとしても、プライバシー侵害や差別が明るみに出た会社は評判悪化リスクを冒すことになるため、人工知能技術を販売する会社は慎重になりつつある。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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