人工知能を販促に使う際の5つの重要点 ~ 偏見を最小限化するための取り組み

昨今、販促業務に人工知能技術を応用する動きが定着しつつあるのにともなって、人工知能による偏見助長を防止する重要性がさらに重視されている。エリクソン傘下で広告プラットフォーム技術を提供するイーモード(Emodo)のデータ戦略担当副社長ジェイク・モスコウィッツ氏は、ベンチャービート誌に寄稿した記事のなかで、そのためにおさえるべき5つの重要点を提示した。

▽アルゴリズムに間違いがあることを前提に

モスコウィッツ氏によると、偏見はさまざまの経路から人工知能システムに反映される可能性があり、検出や解決が非常に難しい場合がある。重要な教訓としては、アルゴリズムの結果を額面どおりに受け止めず、間違いが生じることもあると理解することが挙げられる。

販促業務に機械学習アルゴリズムを活用する場合、アルゴリズムが解を導き出す際に使ったデータの質がきわめて重要だ。それらのデータに偏見が含まれれば、はじき出される答えも偏見を土台とすることになる。

同氏は、それを最小限に抑えるために下記5つの対策が重要になる、と論じている。

1.人工知能任せにしない

人工知能に人が関与し続けることはきわめて重要だ。人間による意思決定と機械学習モデルの決定を比較して、差異やパターンが見つかった場合には、踏み込んで解明すべきだ。最初の設定後に放置して機械任せにしておくことはできない。偏見にもとづく販促を一度でも実行すれば、企業評判をいちじるしく傷つけ、非常に大きな損害を会社におよぼす。

2.確実に代表的なデータで学習させる

販促対象としたい標的層を確実に代表するデータを使って、人工知能を訓練しなければならない。たとえば、富裕層を標的市場にしたい場合、その数が少なく大量のデータを入手できないからといって中所得者層のデータを使えば、望んでいない偏見が反映される。データを選ぶ際に妥協は許されない。

3.表面下のことに目を向ける

人工知能の全体としての精度を測るのではなく、プラットフォームごと、性別ごと、顧客価値ごとといった細かい集団に分けて検証する必要がある。さもなければ、すでに広告を大量に出稿してきた媒体でのみ精度が高く、新しい媒体では効果が低いといった事実を見逃してしまう。

4.より良いデータをつねに探す

現状に決して満足せず、新しいデータを模索して、アルゴリズムを最適化すべく試行を続けなければならない。もっとも大規模のデータセットがかならずしももっとも効果的なデータセットとはかぎらない。データの多くには偏見がかならず含まれる。そのため、多様性に富む良質のデータをつねに入手する必要がある。

5.懐疑的な姿勢を忘れない

人工知能は確かに強力なツールであり、いままでできなかったことを、これまでできなかった規模で実現する。しかし、どんな投資にも共通することだが、人工知能に供給されるデータによってなんらかの偏見が紛れ込むことは避けられない。したがって、懐疑的姿勢や批評的思考をつねに維持し、あらゆるリスクを想定する必要がある。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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