オーガスト・ヘルス、高齢者の地域社会医療をデジタル化 ~ 垂直型サースで即応や情報同期を可能に

地域社会の高齢者らは一般に、日々の暮らしの大部分を紙や旧型システムに依存するため、医療機関や福祉サービス提供者らは、助けの必要な高齢者の様子を適時に追跡して対応するのに苦労している。テッククランチ誌によると、シリコン・バレー新興企業のオーガスト・ヘルスは、高齢者向けのサース(SaaS=software-as-a-service)システムによってそういった課題の解消を図ろうとしている。

▽紙主体の管理からサースへの移行を促進

オーガスト・ヘルス(August Health)の垂直型(特定業界の上流から下流までを対象とした)サースには、高齢者向け住宅の入居者数千人の世話と規則順守を管理し、医師との遠隔健康診断を可能にする仮想診察プラットフォームも含まれる。

共同設立者のエレス・コーエン博士によると、高齢者が多数住む地域社会の約74%はいまでも紙によって管理されている。

同氏は、工学と製品グループを率いていたアップルでの職を辞したばかりだ。使命感にあふれた起業機会を模索していたところに、ランドマーク・ヘルス(LandmarkHealth)で高齢患者に特化した医療サービスの責任者を務めていたジャスティン・シュラム氏と知り合った。

▽高齢者の背景情報をデジタル化かつ一元化

シュラム医師によると、健康問題をかかえる多くの高齢者のなかには、通院中や治療中の患者、何種類もの薬を定期的に服用しなければ日常生活を維持できない患者もめずらしくない。そういった高齢者に何かが起きた際に、医師や病院は、病歴や服薬一覧、健康保険、体重、通常の生命徴候といった背景情報があれば、適切な診断と医療処置を短時間で実行できる。

しかし、実際の現場では、それらの情報を探すために紙の山を調べることから始まる。救急の場合はそれが深刻な問題につながることもある。

▽パンデミックで問題が浮き彫りに

地域社会では一般的に、そういった問題を解決する資源がない。また、現代的かつ先進的な技術ソリューション群はいらくでもあるが、高齢者向けの地域社会医療の現場ではそれらが活用されていない。コーヴィッド・パンデミックがそれを浮き彫りにした、とコーエン氏は指摘する。

両氏は、あちこちの地域社会を視察した結果、地域社会の医療行政や医療機関、地域福祉サービスの関係者らが高齢者を支援するためのソフトウェアに商機があると考えた。それらの関連業務には各種の手続きや規則、規制がともなうため、それらを自動化することで、地域社会医療サービス行政を合理化できる、というのが両氏の見立てだった。

高齢者らの医療記録は通常、1ヵ所で更新されても別の場所では更新されない。そういった情報の齟齬が原因で訴訟になることもある。また、紙媒体の記録類は分析を困難にする。

▽デジタル記録をつくってオンライン・ポータルを構築

両氏は、ソフトウェア工学専門家のマイケル・ワッツ博士を迎えて3人で同社を起業し、それらの諸問題を一気に解決できるサースを構築した。

同社のソリューションは、各地域社会に住む高齢者たちの中核情報デジタル記録をつくり、それをもとに、個々の高齢者の親類縁者や主治医、医療関係者、自治体の医療行政担当者らが迅速かつ適切に連携できるようにするデジタル・ポータルを構築する。

同時に、各州の関連規制を順守する業務を自動化する。さらに、個々の高齢者の個人的歴史(病歴、通院歴、社会的)や各種の要望といった情報も更新されるたびにリアルタイムで同期される。

高齢者の家族は、そのポータルにアクセスして各種の情報を入力および更新し、医師や福祉関係者、医療関係者らが対応する場合に当該高齢者に関する背景情報を可視化する。

▽シリーズAで1500万ドルを調達

コーエン氏によると、同社のおもな競合社には、ヤーディ(Yardi)やポイントクリックケア(PointClickCare)、ALアドヴァンテイジ(AL Advantage)、タビュラ・プロ(Tabula Pro)、ケアリング・データ(Caring Data)がある。

オーガスト・ヘルスは最近、シリーズAの資金調達ラウンドで総額1500万ドルを獲得したばかりだ。メイトリックス・パートナーズ(Matrix Partners)が主導した同ラウンドでは、シード・ラウンドでも投資したジェネラル・キャタリスト(GeneralCatalyst)のほか、ダン・ベイティー氏やアリーン・ウィットマン氏といった有力ベンチャー・キャピタリストらが投資した。

オーガスト・ヘルスの累計調達額は、今回の資金調達によって1760万ドルとなった。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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