さまざまの業界のバックオフィス業務に人工知能がじわじわと浸透しつつある。
ベンチャービート誌によると、人工知能基盤自然言語処理機能(仮想執事、パーソナル・アシスタント、スマート・スピーカー)やチャットボットといった対外的業務向け人工知能が導入される事例は、話題になることが比較的多い。しかし、人工知能技術は、裏方の業務や業務過程を自動化する目的ではるかに多用されるようになっている。
業務過程自動化技術を開発するオートメーション・エニウェア(AutomationAnywhere)によると、バックオフィス業務のなかでも次の4つの領域では、特に人工知能を使った自動化で大きな効果を期待できる。
1)買掛金:データの抽出と検証、配達証明、ERP(企業資源計画)アプリケーションや財務管理プラットフォームへの記録といったの作業は、手間と時間がかかる。そういった仕事は人間よりも機械が得意とするところだ。
2)売掛金:注文処理または注文対応、請求書発行、現金管理といった仕事が多く、やはり手間のかかる作業の割り合いが大きいことから、機械が得意とする分野だ。
3)新入研修:社員の入社時に人事記録を作成してデータを入力し、必要な情報を提供するといった手続きは、煩雑で単純作業の繰り返しが多い。それらを機械でこなすことで、より重要な人材採用や人材維持に人的資源を投下できるようになる。
4)社員データ管理:一つの仕事が複数のほかの作業を引き起こすことも多い。自動化によって、その種の業務のコストが最大40%削減できるとみられる。
バックオフィス業務に人工知能を導入することで特に大きなコスト削減効果が見込める業界としては、医療業界が挙げられる。患者の診察予約や記録管理、保険会社への請求手続きを含め、膨大な量の事務業務があり、厳密な規制下にあるため記録保持の要件もある。マサチューセッツ工科大学による最近の研究では、米国の医療費の3分の1以上が事務経費で構成されており、そのコストは患者一人あたり平均2500ドル前後に達するという結果が出た。
ただ、人工知能というのは、導入してすぐに問題を解決する技術ではない。仕事の種類によっては、効果が出るまでに時間がかかる。したがって、自動化がもっとも容易かつ利益にもっとも直接的に寄与する業務を最初に特定することが重要だ。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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