ウォール・ストリート・ジャーナルによると、昨今、多くの会社がスラックを採用し、業務連絡の迅速化やデジタル化を図っており、その結果、転職活動手段としての地位を確立しつつあるという副産物も台頭し、リンクトインの市場を脅かし始めている。
セールスフォース(Salesforce)に買収された新興企業スラック(Slack)は、各部署や会社全体での業務連絡や情報交換を瞬時に実行できるメッセージング・プラットフォームで知られる。コーヴィッド・パンデミックを受けた遠隔労働の浸透と定着とともに、スラックを多用する会社は急増した。
また、スラックには、業務上の接点がない知人や同僚たちとの連絡を簡便化する独立チャンネルもある。その結果、スラックのプラットフォームを基盤とする数多くのソーシャル・ネットワーキング・グループが成長し、利用者同士が転職や職能向上に関する情報交換や助言にスラックを使うようになった。
クラーク・バロン氏は、2020年3月に立ち上がったサイバーセキュリティー・マーケティング・ソサイエティー(Cybersecurity Marketing Society)というスラック・ソーシャル・ネットワーキング・フォーラムに参加した直後に転職先を見つけた。同氏は、その迅速さが「異常なほどだった」と話している。
バロン氏は、仕事上の人脈からスラックのチャンネルを紹介され、参加リクエストを提出した。同氏の参加前に、グループ・メンバーの一人が当該チャンネルでバロン氏の経験を売り込み、同氏が仕事を探している内容の旗を立てた。
アラバマ州ハンツヴィルに住むバロン氏は、スラック・チャンネルに参加して1週間以内に、面接や自己紹介の電話を20件ほど受けたという。そのうちの一つは、サイバーセキュリティー会社ニソス(Nisos)の社員とのやり取りで、その人物が、さらに多くのニソス社員らとバロン氏をつなぎ、数日後に転職が内定した。
スラックのそういったグループやフォーラム、チャンネルの一つであるブラックス・イン・テクノロジー(Blacks in Technology=技術業界における黒人)は、約7年前に発足して以来、約8000人のメンバーを集め、この2年間には約3000人を集めた。
専門職の企業人たちの転職活動はこれまで、リンクトイン(LinkedIn)が得意とする市場だったが、スラックの利用者グループやチャンネルの成長と台頭によって、勢力地図がじわじわと書き換えられつつある。
スラックのグループ・チャット群は、過去数週間または数ヵ月の履歴を閲覧できるため、当該人物の働きぶりや姿勢をうかがい知ることができる。そのため、求人側は、雇いたいと人物かどうかの判断材料をすぐに確認できるという大きな利点がある、と人材採用に特化したスラック・コミュニティーを立ち上げたチャー・デラペナ氏は述べた。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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