国際警察機関のインターポール(Interpol)は10月27日、メタヴァースが新しい種類のサイバー犯罪の温床となり、既存の犯罪をより大規模に行うことを可能にする危険性をはらんでいるという懸念を明示した。
メタヴァース(metaverse)とは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間で、複数の利用者らがそれぞれの分身(アヴァター)を使って自由に行動できる仮想社会の世界。
ロイター通信によると、インターポールの技術革新担当上席管理官メイダン・オーベロイ氏は、メタヴァース犯罪の可能性にどう備えるかについて、インターポール加盟諸国の警察機関から懸念の声が上がっている、と話した。
「犯罪のなかには、メタヴァースという新たなデジタル媒体にとって新たなものもあれば、既存の犯罪がメタヴァースによって可能になることもあり、また、より高い水準に巧妙化するものもあるだろう」と同氏は述べた。
同氏によると、フィッシングや詐欺は、拡張現実や仮想現実がからむことで、従来とは異なる動きをする可能性があるほか、子どもの安全性に関する新たな問題も浮上するおそれもある。
「テロ集団が物理的空間を攻撃する場合、攻撃前にメタヴァースの仮想空間を使って計画を立て、仮想模擬化し、予行演習することも考えられる」と同氏は指摘する。
EUの警察機関ユーロポール(Europol)は先日、テロ集団が将来的に、宣伝や勧誘、訓練のために仮想世界を悪用する可能性があると指摘した。
そのほか、メタヴァースが利用者らの取り引きをブロックチェーン上に記録すれば、「テロ集団が人々の行動をすべて把握できるようになり、ストーカーや脅迫者らに個人情報を提供することにつながる可能性もある」とユーロポールは調査報告書で警鐘を鳴らした。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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