テッククランチ誌によると、ことしの年末商戦のすべり出しは当初の予想ほど悪くない。感謝祭翌日のブラックフ・ライデイにおける販売高は、1年のなかでもっとも重要な買い物日であることから、イーコマースや消費者の景況感を推し量るうえで重要な指標とみなされている。
▽成長率では2.3%、史上初めて90億ドルを突破
2022年の年末商戦では、景気後退懸念や高インフレーション、新型コロナウイルス・パンデミック収束による実在店舗の復活を受けて、オンライン小売市場が低調になると予想されているが、アドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)の調べでは、ブラック・フライデイのオンライン売り上げが前年同日比2.3%増の91億2000万ドルを記録し、ブラック・フライデイのオンライン販売高として史上初めて90億ドルを突破した。
アドビの調査結果は、消費者電子機器の販売台数といった商品種別の販売数まではわからないため、今回の売上高が販売台数増によるのか、あるいは価格上昇によるのかについては判断できない。
▽感謝祭当日の米国内売り上げ、9%増の310億ドル
かたや、消費者15億人に関する独自の調査結果を報告するセールスフォースによると、米東部時間のブラック・フライデイ午後5時時点では、米国内のオンライン売上高は80億ドル、世界では400億ドルに達した。
また、セールスフォースの調べでは、感謝祭当日のオンライン売上高は前年同日比1%増の310億ドルで、特に米国では9%増の75億ドルと好調だった。
そのほか、オンライン小売交通量(トラフィック)の78%がモバイル端末経由だった。オンライン購入額平均は、世界では105ドル、米国では120ドルだった。
米小売サイトへの約1兆件の訪問を分析し、約1億のSKU(stock keeping unit)と18商品分野の売り上げを追跡するアドビによると、同社のそれらのデータは米小売大手らの85%に使われており、11月1日以降これまでに約777億4000万ドルがオンライン購入に投じられた。
▽当初の予想より堅調
アドビとセールスフォース、そのほかデジタル技術会社らがはじき出すさまざまの数値や調査手法、基準は異なるものの、ことしの年末商戦は当初の予想より堅調という調査結果が出ている点では同じだ。そのため、サイバー・マンデイ(感謝祭連休明けの月曜)とサイバー・ウィーク(ブラック・フライデイからの1週間)でもブラック・フライデイの堅調さが続くかどうか注目される。
アドビは、ことしのサイバー・ウィークのオンライン消費額が348億ドルとなり、昨年の339億ドルを2.8%上回ると予想している。ただ、物価上昇を考慮すれば、2.8%増という数値は前年から低迷することを意味する。しかし、ことしの年末商戦序盤では予想を上回る堅調ぶりが調査で明らかになっているため、アドビの予想より高い成長率となる可能性もある。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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