スイスのモラン、72秒で充電可能な蓄電技術開発

スイスの新興技術企業モラン(Morand)は、シティーカーをわずか72秒で充電できる画期的な電力貯蔵技術モラン・イーテクノロジー(MorandeTechnology)を発表した。

■充放電5万回以上を実証

エレクトリック・カーズ・リポートによると、この技術はウルトラキャパシター(大容量コンデンサー)と電池の特性を併せ持つ独自のシステムで、数秒で有用な充電ができる耐久性のある超急速充電電池パックを作ることができる。約5分以内の急速充電を必要とする用途に最適で、都市部の移動に使うシティーカー、ドローン、電動自転車、電動スクーター、ロボット、防衛、鉄道機関車など多くの用途に可能性をもたらし、急速な充放電が必要な場合にその能力を飛躍的に向上させる。

電池パックには、独占的パートナーシップの一部としてSech(スイス)の革新的なハイブリッドウルトラキャパシター(HUC)を使用。これを高度な制御装置と組み合わせることで、極めて高い性能を安全に実現している。ジオ・テクノロジー(Geo Technology、スイス)による独自テストでは、最大出力900A/360kW、容量7.2kWhのテストユニットを120秒で98%まで充電できることが実証されている。

急速充放電が可能な技術はいろいそあるが、ほとんどは容量が低下するまでのサイクル(充放電)数に制限がある。「イーテクノロジー」は他のシステムよりもはるかに耐久性が高く、テストでは5万回以上のサイクルが実証され、最長稼働しているテストユニットは7万サイクルに近づいている。

■長期的運用コストはリチウムイオン以下

「イーテクノロジー」は従来のリチウムイオン電池パックと違い、リチウムやコバルトといった材料への依存度が極めて低く、リチウムは一部で使われているが主にアルミニウム、グラフェン(炭素原子のシート状物質)、炭素で構成されている。重要な特長は防火システムで、すでに市場を先行する技術でありさらに開発が進められている。

モランは、「イーテクノロジー」の技術を支える設計・エンジニアリング会社として量産に向け生産パートナーと協力している。リチウムイオン電池と比べるとまだ生産量は少ないが、すでに拡張計画が進められており、これによって「イーテクノロジー」はリチウムイオン電池と同程度の価格に近づく見込みだという。

もう一つの重要な点は蓄電システムのライフサイクルだ。充放電サイクルが5倍、10倍となれば長期的な運用コストは同等のリチウムイオン電池より大幅に安くなる可能性がある。

モランは生産規模を拡大するため追加投資を求めており、「イーテクノロジー」の革新性や蓄電能力の進歩で恩恵を受ける特定または限定的な用途への導入を図る協力者に門戸を開いている。

創業者でマネジング・ディレクターのブノワ・モラン氏は「こうした技術は発表されただけで先が続かないものが多いが、イーテクノロジーは実際に稼働中のシステムとして発表している。当社のテストと開発プログラムは広範囲に及ぶが、私たちの主張は独立したテストで検証されている。現在は、生産パートナーとともに規模を拡大し、追加投資を求め、ドローンや電動自転車など、いくつかの用途で契約をまとめることに注力している」と話している。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. ニューヨーク市内で「一軒家」を探すのは至難の業です。というのも、広い敷地に建てられた一軒家...
  2. 鎌倉の日本家屋 娘家族が今、7週間日本を旅行している。昨年はイタリアに2カ月旅した。毎年異...
  3. 「石炭紀のガラパゴス」として知られ、石炭紀後期のペンシルバニア紀の地層が世界でもっとも広範囲に広が...
  4. ジャパニーズウイスキー 人気はどこから始まった? ウイスキー好きならJapanese...
  5. 日本からアメリカへと事業を拡大したMorinaga Amerca,Inc.のCEOを務める河辺輝宏...
  6. 2024年10月4日

    大谷翔平選手の挑戦
    メジャーリーグ、野球ボール 8月23日、ロサンゼルスのドジャース球場は熱狂に包まれた。5万人...
  7. カナダのノバスコシア州に位置する「ジョギンズの化石崖群」には、約3 億5,000 万年前...
  8. 世界のゼロ・ウェイスト 私たち人類が一つしかないこの地球で安定して暮らし続けていくた...
ページ上部へ戻る