小売店、オンライン注文処理もこなす実店舗が増加

出荷の迅速化、在庫の合理化、実店舗の有効活用を目的に、インターネット通販部門の注文品の配送準備を実店舗で行う小売店が増えている。

■配送時間を短縮

ウォールストリート・ジャーナルによると、アルタ・ビューティー(UltaBeauty)、メイシーズ(Macy’s)、ティリーズ(Tilly’s)、ベストバイ(Best Buy)などの小売店はこの戦略によって、自社のeコマース流通センターに在庫がない場合でも、店内の倉庫や棚にある衣料品、電子機器などをオンラインで購入できるようにしている。

アルタの場合、新型コロナウイルス禍でオンライン購入が急増する中、eコマースの注文処理ができる店舗を拡大。現在では約1350店舗のうち116店舗で注文品を梱包している。店舗から出荷することで配送時間を1日短縮でき、倉庫と店舗の在庫を活用できるようになり、アミー・ベイヤートーマス最高サプライチェーン責任者は「消費者の動きはもはや一直線ではない。顧客がどこでどう利用したいかに応えられる買い物の選択肢を提供しなければならない」と話している。

■「在庫切れ」回避

客が実店舗に戻り、eコマースの成長が鈍化し、オンラインで購入して店舗で受け取るといった買物方式が定着し始めた現在、小売業者は消費者の購買習慣の変化に適応し、パンデミック後の売り上げを確保する方法を模索している。

倉庫に在庫がなくても店舗にはある場合、店から出荷するやり方を追加すれば、「在庫切れ(out of stock)」のウェブサイト表示をして客を他店に取られる恐れがなくなり、オンライン販売の商機を失わずに済む。

また、実店舗は通常、人口の密集地にあり、郊外の倉庫よりもはるかに顧客に近いため、実店舗を活用することで配送の迅速化が可能になる。ただし、コーネル大学SCジョンソン・ビジネスカレッジのビシャール・ガール教授(物流学)によると、この戦略は顧客に近づくことで配送コストを下げられるが、コストの重複につながる可能性もある。小売業者は商品を店舗に運ぶ物流コストを負担した上に、店舗から商品を発送するコストを負担することになるからだ。

■物流の新拠点より既存店を活用

調査会社フォレスター・リサーチの主席アナリスト、ブレンダン・ウィッチャー氏は、景気の減速が懸念される中、新しい物流センターに投資するよりも既存の店舗や従業員を有効活用しようと考える小売業者の多くが、2022年はこの戦略にかじを切っているという。注文処理のための店舗スペース拡大を計画しているメイシーズは、35店舗で一部の区画を半自動化された小型配送センターに改造しており、この戦略によって21年にはなかった約100万平方フィートのサプライチェーン用面積を加えている。

ただし、客が手に取った商品を別の通路の無関係な棚に戻してしまうような売り場では、商品が見つけにくく、在庫管理が倉庫より難しくなるため、多くの企業は店舗内に注文処理専用の区画を設けている。パンデミック時に店舗からの出荷機能を追加したティリーズでは、明らかにこの戦略が商品や注文のキャンセル削減に貢献しているという。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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