デルタ航空(Delta Air Lines)は、複数年にわたる検討の結果、2月1日から搭乗客らに機内ワイファイ接続サービスを無料提供する。
CNBCによると、デルタ航空の米国内線の約80%が同日から同サービスを提供開始し、その後、同サービスを提供開始する便が毎週追加される、と同社のエド・バスチャンCEOが1月5日に国際消費者電子製品見本市CESで発表した。
デルタが同日に出したプレス・リリースによると、同社はTモバイルとの提携によって無料ワイファイ・サービスを段階的に700機以上の航空機で利用できるようにする。2023年末までには700機以上の航空機で提供され、2024年末までには国際線と地域線でも利用できるようになる見通しだ。
「すべて無料で提供する」「われわれはこのサービスを実現するために10億ドル以上を投資した」とバスチャン氏は述べた。
デルタの機内インターネット接続無料化計画は、コーヴィッド・パンデミックによって歴史的大打撃を受けた航空業界の生き残り競争のなかで顧客獲得を強化するために同社が進めてきた作戦だ。デルタの幹部によると、航空業界ではパンデミック以降、客単価の高い利用客の獲得をさらに重視し、ビジネス・クラスやファースト・クラスの販売に注力している。実際、それらの割り増し料金クラスの売り上げは、エコノミー・クラスの増収率を上回っている。
また、機内インターネット接続サービスの無料化によって、ビジネス・クラスやファースト・クラスの高単価顧客基盤を拡充できる可能性が高まるとみられる。
バスチャン氏によると、利用客らはデルタのスカイマイル・アカウント情報でログインすることで、機内インターネット・サービスに無料アクセスできる。したがって、利用者はデルタ・スカイマイルの会員であることが条件となる。
ほとんどの主要航空会社は機内ワイファイ・サービスを有料で提供している。ユナイテッド航空の場合、マイレージ・プログラムの会員には8ドル、それ以外の客には10ドル、サウスウエスト航空では8ドルだ。そのため、デルタの機内ワイファイ無料化は競合大手らにとってかなりの圧力となる。
かたや、ジェットブルーは機内ワイファイ・サービスをすでに無料化しているほか、ハワイアン航空では、スペイスエックスのスターリンク人工衛星通信を使って無料化する計画を進めている。
大手のアメリカン航空では、機内ワイファイ・サービスは10ドルからだが、利用料金は路線によって異なり、2022年4月には、一部の利用客向けに試験的に無料化している。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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