米国内では年末年始に異常気象に襲われた。西海岸では記録的な豪雨と強風が複数回あり、カリフォルニア州の沿岸部では未曾有の大雨によって道路冠水や家屋浸水が多発した。ニューヨーク州北部のバッファローや米中央部の北部では記録的な大雪による被害が拡大し、フロリダや米南東部では異例の寒波に襲われた。
フォーブス誌によると、各地で起きたそれらの異常気象は、全米1400の電力会社にとって重大な課題をつきつけた点において共通している。クリスマス・イヴには計160万世帯が停電に見舞われた。
近年、異常気象は多発し、被害や打撃が増大している。クライメット・セントラル(Climate Central)によると、米国では2000年以降に、異常気象による大規模停電が67%増加しており、その傾向は今後も続くと予想される。
電力大手らは、大規模の異常気象が起きた場合に復旧作業を効率的に管理するために、気象予想分析によって作業準備を合理化している。作業員の確保や作業手順、復旧作業内容といったさまざまの要素を気象予想分析にもとづいて最適化し、もっとも短い時間と作業量で最大の効果をあげられるようにしている。
しかし、中小電力会社の大半ではそこまでの対応力はない。それでも、近年における技術の進化やデータ・モデリング、クラウド電算技術の導入増によって、異常気象リスクへの対応を合理化する機械学習といった先進技術の応用が中小電力会社にとっても活用しやすくなっている。
異常気象リスクの予想および特定、その即応管理に人工知能を活用するおもな利点にはいくつかある。
電線や電柱、地下ケーブルといった事業資産に事故が起きた場合、その種類や場所、復旧作業に必要な作業員数、そのほかいくつもの要因がある。被害内容および規模と、復旧作業に必要となる資源を正確に見積もることはかなり難しいが、機械学習によってそれらをすばやく特定かつ最適化できるという大きな利点がもたらされる。
また、電力会社らは、異常気象が発生する直前または直後に被害を予想し、あるいは事故の規模、さらには被害状況の悪化といった流動的要素に応じて、作業員や資材、器具類の調達および再配備に関する指針や方針を人工知能によって最適化できる。
デロイトによると、電力顧客らの行動や期待は変化しており、より高等の技術ソリューションや、停電防止および即応における柔軟性の向上が電力会社らに求められている。電力業界ではそのため、より高耐性の機器群の設置に重点を置くようになっている。
「ハードニング・プログラム」(耐性強化策)と呼ばれるそういった対策の結果が出るまでには長い年月がかかかる場合もあることから、異常気象や被害を予想することが重要となり、したがって、機械学習技術の活用が必須となる。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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