新車の購入を予定する米国人の約半数は、2023年内に希望するブランドから望むサイズの電気自動車(EV)を望みの価格で購入できるようになるとの予測を、市場調査のJDパワーが発表した。
■価格、スタイルがガソリン車に接近
オートモーティブ・ニュースによると、JDパワーはEVの価格と在庫の動向に関する最新報告書で、EVの価格とスタイルがガソリンエンジン車に一層近づいていることを伝えている。ほとんどの自動車メーカーは、ガソリン車の高位モデルからEV版の販売を開始したが、供給の増加や手厚いインセンティブ(販売奨励策)によって今ではEVが一般消費者でも購入しやすい価格になった。
23年1~3月期を見ると、ライトビークルの価格は全体に低下傾向にあるが、EVの値下がり幅はガソリン車よりはるかに大きい。内燃エンジン車の平均取引価格は1月の4万6412ドルから3月は4万5274ドルと2.5%の低下だったのに対し、EVは6万791ドルから5万6214ドルと7.5%も下がった。EV購入時の平均取引価格に占めるプレミアムの割合は年初の31%から現在では24%となっている。
すでに一部のEVは同等のガソリン車と価格が同水準になり、シボレーは23年型「ボルト」EVを約6000ドル引き下げ、最低価格は送料込みで2万7495ドルとなった。EV市場は新型モデルの登場で競争が激化しているため、今後も価格は下がり続けると、JDパワーは予想している。
米国のEV最大手テスラは、人気モデルが連邦インフレ抑制法(IRA)に基づく7500ドルの連邦税控除の対象となった1月中旬から値下げし、基本価格(送料込み)は「モデル3」セダンが4万8440ドルから4万4630ドルに、「モデルY」クロスオーバーは6万7440ドルから5万6630ドルになった。エクスペリアンによると両モデルの登録台数は1月に急増した。
■新車販売の8.5%がEV州の税控除も、EVへの関心を高める大きな要因となっている。全米で最もEVの普及率が高いカリフォルニアでは、EVの購入またはリースで2000ドル、電動のトラック、SUV、バンの購入で4500ドルの税控除を受けられる。オレゴン、コロラド、ニューヨーク、ニュージャージーでも、州レベルのEV奨励金が普及に貢献している。
JDパワーは、価格の低下と選択肢の拡大がEV販売の急成長に貢献し、26年末までには消費者の4人に3人が有効なEVの選択肢を持つようになると予想する。同社によると、23年1~2月は、新車の販売とリースに占めるEVの割合が過去最高の約8.5%に達し、1年前のほぼ2倍になった。
またエクスペリアンによると、22年は全米ライトビークル新規登録台数が1360万台と前年から11%減少したが、EVの新規登録は75万6534台と57%も増加。EVは登録台数の5.6%を占め、前年の3.1%から拡大した。
エクスペリアンのEVアフォーダビリティー(入手しやすさ)指数は、22年末は82前後で推移していたが、主にIRAのインセンティブによって2月は87に上昇した。この指数が100になると、EVは内燃エンジン車と価格的に同等になる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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