社員をオフィスに出勤させるため、出社状況を給与に反映させる企業が増え始めた。
■週3日以上来ないと賞与減
ウォールストリート・ジャーナルによると、ウォール街の大手銀行などを顧客に持つ法律事務所デイビス・ポーク&ウォードウェルは、週に3日以上はオフィスに来て働くという事務所の方針を守らなければ賞与(ボーナス)を減らす可能性があると従業員に伝えている。同事務所は幹部の意向を踏まえ、アソシエイト(勤務弁護士)に火、水、木の出勤を義務付けている。
金融大手JPモルガン・チェイスの業務運営委員会は12日、上級社員であるマネジング・ディレクターに週5日オフィスで働くよう求める通達を出した。ほかのハイブリッド勤務(自宅勤務とオフィス勤務の混合)の社員にも、最低週3日の出社が求められていると再通知を行なった。
一般社員への通知には「ほとんどの社員はハイブリッド勤務を選んでいるが、出社の義務を果たしていない者が多く、この状況を変えなければならない」と書かれている。上級社員への通知によると、管理職は社員が出社要件を守るようにしなければならず、要件が満たされない場合は管理職が「是正処置を含む適切な業績管理措置」の対象になるという。
通知を出したJPモルガンの運営委員会は、銀行の上級幹部とジェイミー・ダイモンCEOを中心とする社内経営者グループで構成される。
企業のこうした動きは、出勤を業績評価指標として扱うという新しい考え方の表れで、デイビス・ポークのニール・バー会長兼マネジング・パートナーは「私たちはチームが同時に出社することに大きな重点を置いている。従業員はオフィスに来て、職場にいることで事務所の文化を支えることが期待されている」と話した。
■出勤の方が業績上がる?
ほかにもいくつかの有名企業が、社員の出勤すべき日を増やしている。娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーは現在、社員に週4日現場で働くよう求めており、ソフトウェア・メーカーのクオルトリックス(Qualtrics、本社ユタ州)も今年から週4日はオフィスで仕事をするよう社員に要求している。
経営幹部や人事アドバイザーによると、全米的には今も月曜日と金曜日に出勤社員が少ないオフィスが多い。入館カードのスワイプ(機械による読み込み)状況を監視するセキュリティー会社キャッスル・システムズ(KastleSystems、本社バージニア州)によると、米国の主要10都市のオフィス稼働率は、過去数週間にわたって50%足らずの状態が続いている。
人事担当幹部の中には、空の施設や席が半分しか埋まっていないフロアをどうするか、もっとスペースを統合するか、勤務規則を再び変更するかなどを検討中という人もいる。
一方、リモートワークを認める経営者の中にも、オフィスでの時間を増やすことに価値を見出す人がいる。フェイスブックの親会社メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグCEOは3月、従業員向けメモで「以前は出勤していたがリモートワークに移行した人や、ずっと出勤し続けている人は、リモートワーカーとして入社した人よりも業績が優れているという初期兆候が見られた」と述べた。同社がどのような形で業績を評価しているかの詳細は不明。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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