米国経済の減速が始まる中、建設機械、トラック、建築資材、産業用ソフトウェアなどの製造業は依然として堅調な売り上げを見せている。新型コロナウイルス感染拡大期の供給の混乱による受注残や、建設中の新工場での需要の高まりがこれらの業界を後押ししているためで、金利の上昇や米経済の成長鈍化の影響が相殺されている。
■製造業関連の建設が4.6%増
ウォールストリート・ジャーナルによると、米国勢調査局の発表では、3月の建設支出は前月比で0.3%増加。特に民間非住宅建設支出は1%増加し、非住宅建設支出の約4分の1を占める製造業関連建設は4.6%増加した。工場の新設は、鉄鋼をはじめとする建設資材や、工場完成後の操業に必要なシステム・機器の需要をけん引している。
重機大手キャタピラーは2023年1~3月期売上高が前年同期比17%増、純利益は26%増。北米向け機械・エンジンの売上高は32%増で、中国での販売不振や他の海外市場での成長率の低迷を補った。
鉄鋼大手ニューコアも、同社の鋼材を使用した建物のジョイスト(組立トラス)、倉庫用ラック、オーバーヘッドドアなどの販売が引き続き好調で、鉄鋼製品事業の利益は前年同期比42%増の9億7100万ドルとなった。同社では、半導体工場、電気自動車(EV)工場(車両組立工場と電池工場の両方)関連の受注残があり、さらに注文は増えているという。
工場用ソフトウェアとオートメーション機器のロックウェル・オートメーションも工場建設ブームを背景に、1~3月期売上高は前年比で26%増加。販売量の増加と価格上昇により営業利益率は5ポイント超上昇の21.3%となった。需要は、EVや半導体の新工場のほか、再生可能エネルギー施設や二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指す化石燃料会社から生まれており、米国では有能な工場労働者が減っているため、産業界の顧客は自動化への投資を増やしているという。
■大型トラック市場も好調
近年はサプライチェーン問題によって、顧客は注文品の納入を長期間待たされたり、購入やプロジェクトの延期を余儀なくされたが、製造業の幹部によると顧客からの需要は消えておらず、ここ数四半期の部品の入手性改善に伴い現在は販売に弾みがついているという。
商用トラックの生産も、パンデミック以来部品不足で制約され、大型トラックの受注残はほぼ1年分に上ったが、ケンワースとピータービルトのトラックを生産するパッカーは1~3月期に前年同期比19%増となる5万1100台のトラックを納入。新車販売台数は37%増で、関連利益は3倍以上に増加した。同社は4~6月期も5万1000~5万4000台のトラック納入を見込んでおり、プレストン・フェイトCEOは「受注は好調で、今年度は実質的に満杯状態だ」と話す。
パッカーなどのトラックメーカーにディーゼルエンジンを供給しているカミンズも、特に北米の需要好調を受けて1~3月期の業績は予想を上回り、大型トラック向けエンジンの売り上げは前年から23%増加。通年の売り上げ予想をこれまでの前年比12~17%増から15~20%増に引き上げ、北米の大型トラック業界全体の生産台数は28万~29万台に達すると予想している。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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